「まど・みちおのうちゅう」宇都宮美術館の企画展に行ってきた

「まど・みちおのうちゅう」宇都宮美術館の企画展に行ってきた

目次

2025-05-11 に「まど・みちおのうちゅう」宇都宮美術館の企画展に行ったのでその日記
すごく刺激になった。

「まど・みちおのうちゅう」宇都宮美術館
「まど・みちおのうちゅう」宇都宮美術館

概要#

「ぞうさん」「やぎさん ゆうびん」など、誰もがいちどは口ずさんだことのある童謡の作詞者として、また平明な日本語で生命や事物の存在を寡黙に言祝ぐ詩の紡ぎ手として親しまれ、2014 年に 104 歳でこの世を去った詩人まど・みちお(1909-2014)。
50 代前半の一時期、彼は人知れず絵の制作に没頭しました。その多くは「この世にあるもの」をなぞらずに生まれて来た抽象画です。詩人の故郷に建つ周南市美術博物館のコレクションから精選した作品群を中心に、ときに苛烈さを秘めながらも慈しみをたたえ、宇宙に直結するかのような深い響きを宿す絵の数々をまとめて展観します。
絵画作品約 60 点に加え、原稿、創作ノートや書籍などの資料約 240 点を展示。この稀有な詩人の足跡、そしてその心に映った宇宙の姿をたどります。

まど・みちおさんは童謡の作詞や詩人として有名ですが、絵を描いていたことを知らなかったので、その絵を見ることができて良かったです。

絵を描いていた時期は、1961 年から 1964 年にかけての 4 年間が主で、本展覧ではその時期に描かれた抽象画が展示されていました。また、スケッチや創作ノート、まど・みちおさんの 100 歳を超える生涯の歩みをたどれる資料も展示されていました。

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まど・みちおのうちゅう― うちゅうの あんなに とおい あそこに さわる ―が、宇都宮美術館にて、2025年4月27日(日)より2025年6月29日(日)まで開催。まど・みちおのうちゅうに関する展覧会情報やイベント情報などのニュースをお届けするとともに、プレス・メディア・報道関係者の皆様に向けた情報やデータをご提供しています。
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まど・みちおの絵画技法#

まど・みちおさんは独学で絵を描いていたようです。画材としてはクレヨンや水彩、ボールペンなどの身近な画材を使って「造形あそび」と評していい技法で描かれたことが、直に見て感じました。

主な特徴は下記です。

  • 渦を巻く筆跡
  • 絵具を吹き流す
  • 紙を削る
  • 削って灯す

まど・みちおさんの描く抽象画は、近くで見るとこのような特徴を感じることができ生で見れて良かったです。このようなテクスチャ感にすごく憧れてしまいます。

宇都宮美術館での展示#

「まど・みちおのうちゅう」は巡回だと思うのですが、宇都宮美術館ならではの展示は「セルジュ・ポリアコフ」と一緒の展示だと思います。

まど・みちおさんが好んだ画家の一人がポリアコフらしいです。宇都宮美術館所蔵のポリアコフ作品も紹介され同じ抽象画に共感を持って鑑賞できました。

まど・みちお 100の世界
周南市出身、まどみちおのオフィシャルサイトです。まどさんの歴史をはじめ、まどさんの生まれた場所、童謡・詩集・絵画作品などを紹介しています。
まど・みちお 100の世界 favicon
www.mado-michio.com

印象に残った作品#

今回の展示で印象に残った作品です。

  • 石
  • 落下
  • 亀裂
  • 紙は哀しい
  • 星がとおい

詩なども読みたい#

今回の企画展が素晴らしく鑑賞後は図録を購入しました。
自分は普段は詩などは読まないのですが、まど・みちおさんの詩も読んでみたいと思いました!

まとめ#

宇都宮美術館でのまど・みちお企画展を観に行きました。
絵を描いてたのは 1961 年から 1964 年にかけての 4 年間とのことですが、圧巻の作品数で凄く刺激になりました!

宇都宮美術館での企画展は 6 月 29 日までです。気になった方はぜひ観に行ってみてください!
巡回もあるかもなので、お近くで開催されたら是非観に行ってみてください!

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2026年度 行きたい美術館リスト

今年も忘れないように 2026 年度に行きたい美術館をまとめました。 私は、宇都宮に住んでいるので関東地方の美術館が多くなります。

[!note] Note 開催が近くなったら、ニュース記事などを追記していきます。

4月 ~ 6月

コレクションの舞台裏―光をあてる、掘りおこす。収蔵品をめぐる7つの試み

場所 期間
埼玉県立近代美術館 2 月 7 日 ~ 5 月 10 日

https://pref.spec.ed.jp/momas/2026butaiura

1982年に開館した埼玉県立近代美術館は、西洋近代絵画や埼玉県ゆかりの美術家を核とした継続的な収集活動を行い、現在では国内外の近現代美術の作品を約4200点収蔵しています。この展覧会では、その中から学芸部スタッフが各々の視点で収蔵品を選び、一部に借用作品を交えて、調査研究(リサーチ)の成果をもとに展示します。7つの独立したテーマを設け、コレクションを掘り下げていく、短編小説のアンソロジーのような展覧会です。

今年、はじめて埼玉県立近代美術館に行きましたが、すごく良かったので、また行きたいと思います。コレクション展とのことなので楽しみです。

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公開日:2026-03-26
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#美術館
【2025-05-05】大川美術館と館林美術館に行った

2025-05-05 に大川美術館と館林美術館に行ったのでその日記

大川美術館

大川美術館 エコール・ド・パリの画家たちと松本竣介

リニューアル記念展とのことで、GW に行きたいと思っていた大川美術館に行ってきました。

松本竣介は 1912(明治 45)年に生まれました。太平洋美術研究所(後に学校)に学び、二科会、新人画会、自由美術家協会を中心に作品を発表、戦後間もない 1948(昭和 23)年に亡くなっています。この間、当時の多くの日本の洋画家達がヨーロッパの新しい美術思潮に大きな影響を受けその画業に反映してきましたが、松本竣介もその一人で、とりわけエコール・ド・パリの画家たちに強い関心を寄せます https://artscape.jp/exhibitions/35350/

大川美術館の創設者大川栄二(1924-2008)が、美術コレクションをはじめるきっかけとなったのが松本竣介の作品でした。その松本竣介が関心を寄せていたエコール・ド・パリの画家たちと松本竣介の作品を展示していました。

松本竣介が集めたエコール・ド・パリ関連の蔵書やスクラップブックなどを展示してあり良かったです。

今回の展示の松本竣介作品で街が印象的でした。どことなくシャガールに影響を受けた感じがして好きでした。

また、ポスターのメインビジュアルにあるモディリアーニの「少女の肖像(ジャンヌ・ユゲット)」も見られて良かったです。

余談ですが、モディリアーニの伝記映画の「モンパルナスの灯」は自分の好きな映画の一つです。

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公開日:2025-05-06
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#美術館
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4月 ~ 6月

ヒルマ・アフ・クリント展

場所 期間
東京国立近代美術館 3 月 4 日 ~ 6 月 15 日

https://art.nikkei.com/hilmaafklint/

以前、彼女のドキュメント映画を観てヒルマ・アフ・クリントを知って感銘を受け、いつか生で作品を観たいなと思っていました!今回、初の回顧展を行うとのことで絶対に行きたいと思います!

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公開日:2025-04-06
更新日:2026-01-27
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#美術館
読んだ本リスト
スリップの技法
スリップの技法
スリップの技法
本屋
ビジネス
著者
久禮 亮太
発売日
2017年10月30日

本屋に行く楽しみが増える一冊。

再販維持制度があるので、どの新刊書店に行っても、本の値段は一緒である。また本屋は仕入れた本を返品できたりするので、どの本を仕入れるかが、その本屋の独自性になる。

本書は、新刊書店の書籍に挟まっている細長い紙切れであるスリップの活用方法を書店員に向けて書かれている。書店員のために書かれた本ではあるが、そうでない人にも書店員の仕事が分かり楽しく読むことができるだろう。

本にはその本とつながりが作れる関連書籍が多数あるだろう。書店ではそれをたとえ違うジャンルであろうが、隣に並べたり、平台に載せて販売している。そうした関連書籍の作り方を、売れた本であることが分かるスリップから考えていく。

本屋の仕事の忙しさも読んで感じた。著者は、あまり本を読んではいないというが、関連書籍をつなげる豊富な知識に驚かされる。「読んでいない本について堂々と語る方法」に本の内容を読んでいないが全体を把握している司書の話が出てくるが、書店員も同じように、その本の文脈や全体像、分類を把握して本を売っているのだろう。

返品制度があるから、仕入れた本をすべて売り切るという発想ではないのだなと知った。ついでに手に取られた本が書店を維持するのに大切なのだ。

自分もいろんな新刊書店に行ってみて、書店員がすすめる「ついでの本」を買っていきたい。そんな風に感じた読書体験でした。本屋に行くことが好きな人におすすめです。

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公開日:2026-10-12
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#本屋
#ビジネス
炎の中の図書館 110万冊を焼いた大火
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炎の中の図書館 110万冊を焼いた大火
人文・思想・社会
著者
スーザン・オーリアン
発売日
2019年11月18日

1986年にアメリカ史上最悪の図書館火災があった。その場所は、ロサンゼルス中央図書館である。放火犯として疑われた青年は、俳優志望で虚言癖のある男である。彼の供述は二転三転するが、証拠不十分で刑事告発は見送られるし、火事から7年後に亡くなってしまうので、この火事の真相は分からずじまいである。

真相が分からない事件なので、書くことも少ないのであろう。ページ数が多いが、残りはこの図書館の歴史や、歴代の図書館司書などが短い章で書かれていて、非常に読みづらかった。

図書館そのものの話としては、公共性としての図書館の役割がアメリカと日本で違うのが印象的だった。ロサンゼルスではホームレスの人が多いらしい。図書館はその人たちにも無料で居場所を提供できる唯一の場所とのことだ。

燃えた後の本の扱いにも驚いた。なんと冷凍で保管するらしい。というのも濡れた本はカビが生えてしまうからだ。この冷凍庫の貸し出しに協力する企業の話も出てくる。町にとって図書館は大切な場所なのだろう。

関連サイト(外部サイト)
「炎の中の図書館 110万冊を焼いた大火」の参考文献一覧

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公開日:2026-10-07
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#人文・思想・社会
本屋、はじめました 増補版
本屋、はじめました 増補版
本屋、はじめました 増補版
本屋
著者
辻山 良雄
発売日
2020年1月9日

荻窪にある新刊書店「Title」の店主である辻山さんの著書です。
辻山さんは、Titleを開業する前にリブロという書店で働いていました。
前半ではリブロで働いていたなかで気づいたことを、後半ではなぜ新刊書店を開いたのかが語られます。

新刊書店を開く前に行う準備のことなどが、赤裸々に描かれており、新しく独立系の本屋を開きたい人に参考になる内容も多いかと思います。店の場所の選び方や、ロゴ、ブックカバーなどについての記載があります。

文庫版の増補では、単行本発行から五年が経過したその後のTitleのことが書かれています。売上や利益のことについても書かれてある。

印象的だったのが、人とのつながりのことだ。
小さなお店をやることは地域の人びととの結びつけが大切なのだろう。

新たに本屋をやりたい人も、小商いを始めたい人も、本屋のことが好きな人も参考になる1冊だと思います。

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公開日:2026-10-06
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#本屋
本棚の歴史
本棚の歴史
本棚の歴史
人文・思想・社会
著者
ヘンリー ペトロスキー
発売日
2003年12月31日

意外になかった本棚そのものの歴史に着目した本書。
著者は「フォークの歯はなぜ四本になったか」の著者で知られるペドロスキーです。

昔は今のような形態の本ではなく、古代では巻物の形であり、そこから冊子へと進化。そこから活版印刷の誕生と続く。ここで重要なのは、本と本棚が別々に進化するのではなく、本の形態が進化したら、それにともなって本棚の方も進化していくことだ。

本の保管の歴史は、巻物の時代は、ケースや箱に置かれていたり、冊子になると、戸棚や保管箱に進化する。写本文化が栄えると、書き取りしやすいように斜面をなす書見台が登場した。次第に蔵書の数が増加すると、ストール・システムが導入され、今見るような本の縦置きが始まることとなる。

ここで面白かったのは、昔の本の背には題名や著者名がなかったことだ。蔵書もまだ少ないころは、判別ができていたのだろう。また、本の背に何も書かれていないので、収納する時には背を奥にし、前小口を外側に向けて収納されていたらしい。

また、同時写本は貴重品だったので、本が盗まれたりしないように、鎖で書見台につながれていた。その前には鍵を使用されていたらしいが、複数ある鍵のタイプだったので、その煩わしさをなくすために鎖が使われたのだという。

本が鎖につながれていたことは、本棚の形態意外にも、建造物にも影響を及ぼすことになった。昔は電気もなく日の光がないと読めないことと、鎖につながれた本という事実が、イギリスでは歴史的な図書館の構造と発展を一七世紀末まで左右し続けたのだという。

このように本書では、本棚について語るために、本の歴史や保管する図書館についても語っている。後半では図書館の話が多くなってしまっていて、本棚ではあるが、期待していたものとは違うかなと感じた。もう少し個人の蔵書や本棚について読みたかったかも。

関連サイト(外部サイト)
「本棚の歴史」の参考文献一覧

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公開日:2026-10-03
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#人文・思想・社会
燃える平原
燃える平原
燃える平原
小説
著者
フアン・ルルフォ
発売日
2018年5月16日

燃える平原は17の物語からなる短編集である。
どの作品にも死が出てくる作品群を読んだことがない。
そこにまつわる復讐や親子関係、荒涼とした大地が作品を満たす。

作品の中で、気に入ったのは以下の3つ

  • コマドレス坂
  • タルパ
  • 殺さねえでくれ

今回再読したわけだが、どの作品も素晴らしい出来であったのに気づいた。
現在、岩波文庫版は絶版になっているが、見つけたら手にしてもらいたい。

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公開日:2026-09-26
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#小説
偶然の装丁家
偶然の装丁家
偶然の装丁家
デザイン
著者
矢萩多聞
発売日
2014年5月1日

「就職しないで生きるには21」
装丁家である矢萩多聞さんの著書になります。

「偶然の装丁家」とあるように、矢萩さんが装丁家として本をつくる仕事をするようになったのは、さまざまな縁があったからです。

本の前半では、矢萩さんの学生時代が語られます。不登校であった小学生時代。5年生でよい先生に出会い学校に通い出す思い出。だが中学校ではまた不登校に戻って学校に行かなくなってしまいます。

矢萩さんの父親もモノづくりの人で、木版画家であります。父親の影響から、はじめての海外はネパールに行き、そしてインドで暮らすことになります。

印象に残ったのは「その場にアジャストする」ことです。インドでは日本ほど生活がしやすくないで、でこぼこの国です。社会そのものがまっすぐな水平の上に建ってないから、人間のほうがアジャストする必要があるとの言葉になるほどなと思います。

本の後半では、いまの仕事である「本をつくる仕事」にフォーカスします。矢萩さんのはじめて出た本は、春風社という出版社から出た対談本になります。ここで矢萩さんは、はじめての装丁をすることになり、そこから今につながっています。

矢萩さんは個展などで絵を売ってたりもしましたが、装丁家を名乗るきっかけになったのが、安原顕さんとの仕事からだそうです。安原顕さんの最後の著書の装丁を手掛けたことで、著者にとってはどの本もかけがえない一冊で、最初で最後になる本かもしれないと思いました。小遣い稼ぎでやってしまったらまずいと、自分の仕事の重大さに気づいたそうです。


装丁家の人の本を読んだのがはじめてなのもあり、勘違いしていたことがありました。装丁家とは本の表紙だけをデザインするのではないそうです。

矢萩さんの「一冊の本ができるまで」は次のようになります。

  • 何はなくとも、まずは打ち合わせ
  • ラフづくりは果てしない
  • 修正するもの、しないもの
  • 紙選びと印刷

本のデザインをするためには、著者と編集者との打ち合わせが大切なことが伝わってきました。会話のなかから産まれてくるものがあるのです。

矢萩さんの人柄を表すエピソードで好きだったのが、ある会社の都合でデザイン料を安くしてくれと言われたときのことです。最初は腹がたったのですが、こう提案したのです。

「わかりました。きっとあなたも会社に言われて、融通をつけることができないんでしょう。デザイン料は改定後のものでけっこうです。ただし、その分、また仕事をください!」

なかなかこういう風に提案はできないなと関心しました。損をして得とる、抜け目ないインド人的発想かもしれないと著者は自己分析しています。

デザイン料に対してもそうです。装丁家はいくら本が売れたとしても、デザイン料は一定です。それに対し、装丁家にも印税制にすべきだ、と主張する人もいますが、矢萩さんは違います。

もし印税制になったら「たくさん売れる本をつくる」ことが目的になってしまい、おかしくなってしまいます。それよりも、装丁した本が有名になることで、新しい仕事につながることの方が良いといいます。このことを「目に見えない印税」と表現していて良いなと思いました。

このシリーズは「就職しないで生きるには」となっていますが、矢萩さんはあとがきで、就職しないで生きてほしい、とは思わないと書かれます。仕事を通じての人との出会いや繋がりのなかで、身の丈にあった「居場所」を見つけること。そんなことを読んで思いました。

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公開日:2026-09-30
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#デザイン
統計でウソをつく法
統計でウソをつく法
統計でウソをつく法
統計
著者
ダレル・ハフ
発売日
1968年7月23日

本書は50年以上前に出版されており、いまでも重版され、長いこと読み続けられている統計学のおもしろ本である。アメリカで1954年に発行となるので、事例が古いし、訳が読みにくいのが難点か。いまなら別の統計学の本を読んだほうがいいのかもしれない。

平均でだましたり、グラフをいじって誤用させる事例などは、今でも行われており、SNSでも取り上げられるので知っている内容は多かった。

本書が発行される前は、こうした統計でだます手法は本でしか知る由もなかったろうから、インターネットがない時代に生まれてなくてよかったと感じたかな。昔はだまされる人が多かっただろうと想像する。

最後の第10章「統計のウソを見破る五つのカギ」と題して、1~9章で紹介してきた統計のウソを見破るための方法が5つまとめられる。

  • 誰がそういっているのか?(統計の出所に注意)
  • どういう方法でわかったのか?(調査方法に注意)
  • 足りないデータはないか?(隠されている資料に注意)
  • いっていることが違ってやしないか?(問題のすりかえに注意)
  • 意味があるかしら(どこかおかしくないか?)

統計のウソを見破るためには、高度な数学など必要ないのだ。しっかりとした科学的な考え方や、ロジカルな考え方が必要なのである。

それはいつの時代でも同じであり、普遍的な内容なので、重版を重ねて読み続けられているのであろう。

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公開日:2026-09-28
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#統計
雑学者の夢 (グーテンベルクの森)
雑学者の夢 (グーテンベルクの森)
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人文・思想・社会
著者
多木 浩二
発売日
2004年4月20日

ベンヤミンに倣っていえば、私は、自分について書かないことで自分の文体を作ってきた

本書では読書体験を書くという前提があるから、ある程度、著者自身のことも書くことになる。一般的な読書遍歴といった形ではないため、どのように読んだらいいかが難しかった。

多木さんの仕事は幅広いが、自身のことを美術史家とか、建築評論家とか、写真評論家とかの、なんらかの肩書きで示すことはできないと云う。専門家にならなかったのは、好奇心があらゆるものに拡がっていったからという部分に僭越ながら共感を得る。

沢山の本を読まれてるだろうが、博識な著者でも読んだ本について、忘れていることも多いと書かれているのは安心できる。

書物とは物体ではない。生きている人間の経験のなかで変質もし、消滅もするテクストなのである。再読することは、埋もれた記憶を掘り起こす行為である。かつて読んだ書物の内容を思い出すのではない。忘却のあいだに経験した世界によって、変形された記憶として想起することなのである。

ロラン・バルト、ソシュール、バンヴェニスト、ベンヤミン、フーコーと辿る読書遍歴の歴史。ある種の知識人である著者の読書の軌跡を見せてもらえる。多木さんの著書はまだ読んだことがないので、これから読んでみたいと感じた。

関連サイト(外部サイト)
「雑学者の夢 (グーテンベルクの森)」の参考文献一覧

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公開日:2026-09-26
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#人文・思想・社会
「感想文」から「文学批評」へ: 高校・大学から始める批評入門
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批評
著者
小林真大
発売日
2021年2月25日

このブログから読者感想文を書くようになったが、ありきたりなことしか書けなかいことが課題だったので本書を読んだ。タイトルからハウツー本だと思ったが、ロマーン・ヤーコブソンが提唱している文学批評の六つの型を丁寧に解説している入門書だった。

ロマーン・ヤーコブソンの文学批評の六つの型は以下のようになる。

  • 作家論(作者重視)
  • ニュークリティシズム(メッセージ重視)
  • 読者論(読者重視)
  • 構造主義(コード重視)
  • イデオロギー批評(コンテクスト重視)
  • メディア・スタディーズ(接触重視)

文学批評のタイプは、「作品の真の意味がどこにあるのか」という問いに対して、どの角度から論じるのかによって分類できるという。なのでタイプによっては、限界や批判がある。その歴史的経緯などを本書では丁寧に説明してくれるので、文学批評の入門書として最初に手にとってよかった。

こうした事例を通じて、文学作品の評価は、社会の変化とともに変わり続けることが理解できる。批評家によって作品の価値を、批評を通じて人々に伝えることができる。批評家が社会に及ぼす影響を忘れないようにし、批評をはじめる前に、必ず覚えておかないと終章で締める。

自分はどのタイプで文章を書いていこうか。幸いにも文学批評の概観を本書で知れたし、参考文献も豊富なので、その他の本も読んで良い文章を書けるようになりたい。

関連サイト(外部サイト)
「「感想文」から「文学批評」へ: 高校・大学から始める批評入門」の参考文献一覧

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公開日:2026-09-26
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#批評
誤解学
誤解学
誤解学
人文・思想・社会
著者
西成 活裕
発売日
2014年5月22日

「渋滞学」で著名な西成活裕氏は、誤解のことをこう書く

誤解とは、コミュニケーションの流れにおける渋滞のようなものである。誤解はそれまでの流れの様子を一気に変化させ、関係者にとって好ましくない状態を作り出してしまう

そもそも誤解が発生してしまうメカニズムとは何であるのか。
第二章では誤解の理論を構築していく。

理論構築のためには因果関係を表すモデルを作成し分析する。このモデルをIMV分析と呼ぶ。それぞれ下記の頭文字をとったものだ。

  • Iはintension(真意・意図)
  • Mはmessage(情報)
  • Vはview(見解)

誤解は自分の意図と相手の見解のズレで発生する。つまりI ≠ Vのときだ。

その他にも、自分の意見がどれぐらい保持するのかを表す頑固度K、VとIがどれくらいズレるかという指標、ズレを表す伝達度Gの変数も分析には含まれる。

ここで数理モデルの面白さを感じたのは、頑固度Kと伝達度Gが一定で変化しない条件のときではあるが、二者のコミュニケーションの最終合意がどこに行きつくかがシミュレーションで予測できることだ。

この条件の元だと、先手有利の法則になり、最初に話しかけた方が有利になるとのことだ。
このようなことが理論的に示せるのが興味深いと思った。

もちろん実際には、変数である頑固度や伝達度は会話のやり取りで変化するので、より複雑になるであろう。このことも本書で書かれていたらよかったが、残念ながら本書ではカバーしきれていない。

複雑さまで書かれていないのが不満ではあったが、数理モデルの面白さを知る上での良い入門書ではあるだろう。

関連サイト(外部サイト)
「誤解学」の参考文献一覧

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公開日:2026-09-22
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#人文・思想・社会
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