「リアルタイムグラフィックスの数学」勉強ログ - 第3章値ノイズ

「リアルタイムグラフィックスの数学」勉強ログ - 第3章値ノイズ

目次

はじめに#

「リアルタイムグラフィックスの数学」の第 3 章の値ノイズについての勉強ログです。

値ノイズの構成法#

まずは 2 次元の値ノイズの構成法について見てみましょう。

平面上の正方形の4つの頂点(格子点)
平面上の正方形の4つの頂点(格子点)

平面上の正方形の 4 つの頂点(格子点)を用いて、値ノイズを構成します。各格子点での乱数値、または乱数ベクトルを使って生成されるノイズを格子ノイズと呼びます。格子点の成分は整数になるようにします。点(x,y)(x, y)に対して床値[][]を使って、(x,y)(x, y)を取り囲むマスの格子点は次の 4 つのベクトルで表します。

e00=([x],[y]), e10=([x]+1,[y])e_{00} = ([x], [y]), e_{10} = ([x] + 1, [y]) e01=([x],[y]+1), e11=([x]+1,[y]+1)e_{01} = ([x], [y] + 1), e_{11} = ([x] + 1, [y] + 1)

この格子点のハッシュ値を取得して、第 1 章でみた双線形補間を使用して(x,y)(x, y)での値をつくります。このようにしてつくられたノイズ関数を値ノイズと呼びます。

2 次元の値ノイズの関数は次のようになります。

2次元の値ノイズ
float vnoise21(vec2 p){
  vec2 n = floor(p);
  float[4] v;
  for (int j = 0; j < 2; j ++){
    for (int i = 0; i < 2; i++){
      v[i+2*j] = hash21(n + vec2(i, j));
    }
  }
  vec2 f = fract(p);
  return mix(mix(v[0], v[1], f[0]), mix(v[2], v[3], f[0]), f[1]);
}

for文で回している箇所は複雑なので、マスの 4 頂点のハッシュ値のv[]をそれぞれ見てみましょう。

vec2 n = floor(p);
 
v[0] = hash21(n);
v[1] = hash21(n + vec2(1.0, 0.0));
v[2] = hash21(n + vec2(0.0, 1.0));
v[3] = hash21(n + vec2(1.0, 1.0));

先ほどの 4 つのベクトルと同様になっているのが確認できるかと思います。この格子点のハッシュ値を双線形補間して返してます。

return mix(mix(v[0], v[1], f[0]), mix(v[2], v[3], f[0]), f[1]);

サンプルコードでは双線形補間とエルミート補間を比較しています。エルミート補間はsmoothstep(0, 1, x)と同じ関数であり、コードで表すと次のようになります。

エルミート補間
f = f * f * (3.0 - 2.0 * f);

比較してみると、エルミート補間の方がグラデーションが滑らかであることが分かるかと思います。

双線形補間とエルミート補間の比較
双線形補間とエルミート補間の比較

値ノイズを RGB カラーで色付け#

問題 3.1 の値ノイズを RGB カラーで色付けしてみましょう。先ほど作成したvnoise21関数の引数に RGB の値を渡せるようにし、ハッシュ関数の中に加えます。

float vnoise21(vec2 p, float l) {
  // ...
  for (int j = 0; j < 2; j++) {
    for (int i = 0; i < 2; i++) {
      v[i + 2 * j] = hash21(n + l + vec2(i, j));
    }
  }
}

新たに 3 次ベクトルを返すvnoise23関数を作成し、RGB を適当な値でvnoise21の引数に入れてみましょう。

vec3 vnoise23(vec2 p) {
  return vec3(vnoise21(p, 14.0), vnoise21(p, 34.0), vnoise21(p, 64.0));
}

このvnoise23関数を main 関数で使用すれば、値ノイズを RGB カラーで色付けすることができます。下図では、2 変数と 3 変数の値ノイズをエルミート補間した例になります。

値ノイズを RGB カラーで色付け
値ノイズを RGB カラーで色付け

グラデーションの滑らかさと微分#

先ほど見たように双線形補間よりもエルミート補間の方が滑らかです。この節では微分を用いてなぜエルミート補間の方が滑らかであるかを確認します。

例として、3 つの数値 0.3,0.9,0.6 が与えられたときに、[−1,1][-1, 1]区画上で線形補間する関数l(x)l(x)とエルミート補間する関数h(x)h(x)を比較します。c(x)=x2(3−2x)c(x) = x^2(3 - 2x)とすれば次のようになります。長くなるのでh(x)h(x)は途中式を省略しています。

l(x)={mix(0.3,0.9,x+1)=−0.3x+0.9(x+1)=0.9+0.6x(−1≤x≤0)mix(0.9,0.6,x)=0.9(1−x)+0.6x=0.9−0.3x(0≤x≤1)l(x) = \begin{cases} \mathrm{mix}(0.3, 0.9, x + 1) = -0.3x + 0.9(x + 1) = 0.9 + 0.6x & (-1 \le x \le 0)\\ \mathrm{mix}(0.9, 0.6, x) = 0.9(1 - x) + 0.6x = 0.9 - 0.3x & (0 \le x \le 1) \end{cases} h(x)={mix(0.3,0.9,c(x+1))=0.9−1.8x2−1.2x3(−1≤x≤0)mix(0.9,0.6,c(x))=0.9−0.9x2+0.63(0≤x≤1)h(x) = \begin{cases} \mathrm{mix}(0.3, 0.9, c(x + 1)) = 0.9 - 1.8x^2 - 1.2x^3 & (-1 \le x \le 0)\\ \mathrm{mix}(0.9, 0.6, c(x)) = 0.9 - 0.9x^2 + 0.6^3 & (0 \le x \le 1) \end{cases}

これをグラフにすると下図になります。l(x)l(x)が赤でh(x)h(x)が青で表示されています。

l(x),h(x)のグラフ
l(x),h(x)のグラフ

このグラフよりl(x)l(x)はx=0x=0で折れ曲がっているのに対し、h(x)h(x)は滑らかにつながっていることが分かります。

この微分可能性について計算すると、l(x)l(x)はx=0x=0で傾きが変わり、左微分係数は 0.60.6、右微分係数は−0.3-0.3 なので、x=0x=0では微分可能ではありません。h(x)h(x)の場合の左微分係数と右微分係数は次のように計算すると、

h(−ε)−h(0)ε=−1.8ε2+1.2ε3ε→0\dfrac{h(-\varepsilon) - h(0)}{\varepsilon} = \dfrac{-1.8\varepsilon^2 + 1.2\varepsilon^3}{\varepsilon} \to 0 h(ε)−h(0)ε=−0.9ε2+0.6ε3ε→0\dfrac{h(\varepsilon) - h(0)}{\varepsilon} = \dfrac{-0.9\varepsilon^2 + 0.6\varepsilon^3}{\varepsilon} \to 0

のため左微分係数と右微分係数が一致するため微分可能であり、微分係数は 0 になります。エルミート補間関数は、微分係数が 0 となるように補間するので、つなぎ目は常に平らになります。

導関数#

ある区間上の関数f(x)f(x)に対し、区間上のすべての点が微分可能であるとき、微分係数を対応させる関数は導関数と呼ばれf′(x)f'(x)と表記されます。導関数が存在し、それが連続となる関数は$C^1 級関数と呼ばれます。

エルミート補間関数h(x)h(x)で考えると、

h′(x)={−3.6x(1+x)1.8x(−1+x)h'(x) = \begin{cases} -3.6x(1 + x) \\ 1.8x(-1 +x) \end{cases}

となり、h′(x)h'(x)はx=0x = 0でも連続であるので、h(x)h(x)は[−1,1][-1, 1]区画上のC1C^1級関数であることが分かります。

5 次エルミート補間#

f′(x)f'(x)に導関数f′′(x)f''(x)が存在し、それが連続となる場合、f(x)f(x)はC2C^2級関数と呼ばれます。h′(x)h'(x)を微分すると、

h′′(x)={−3.6−7.2x−1.8+3.6xh''(x) = \begin{cases} -3.6 -7.2x \\ -1.8 +3.6x \end{cases}

となり、x=0x = 0でつながらないので、h(x)h(x)はC2C^2級関数ではありません。

ここでc(x)c(x)を 3 次式のx2(3−2x)x^2(3 - 2x)から、5 次式のx3(10−15x+6x2)x^3(10 - 15x + 6x^2)に変更してみましょう。h(x)h(x)は次のようになります。

h(x)={mix(0.3,0.9,c(x+1))=0.9+6x3+9x4+3.6x5(−1≤x≤0)mix(0.9,0.6,c(x))=0.9−3x3+4.5x4−1.8x5(0≤x≤1)h(x) = \begin{cases} \mathrm{mix}(0.3, 0.9, c(x + 1)) = 0.9 + 6x^3 + 9x^4 + 3.6x^5 & (-1 \le x \le 0)\\ \mathrm{mix}(0.9, 0.6, c(x)) = 0.9 - 3x^3 + 4.5x^4 - 1.8x^5 & (0 \le x \le 1) \end{cases}

h′(x)h'(x)とh′′(x)h''(x)の計算は次のようになります。

h′(x)={18x2+36x3+18x4=18x2(1+2x+x2)−9x2+18x3−9x4=−9x2(1−2x+x2)h'(x) = \begin{cases} 18x^2 + 36x^3 + 18x^4 = 18x^2(1 + 2x + x^2) \\ -9x^2 + 18x^3 - 9x^4 = -9x^2(1 - 2x + x^2) \end{cases} h′′(x)={36x+108x2+72x3=36x(1+3x+2x2)−18x+54x2−36x3=−18x(1−3x+2x2)h''(x) = \begin{cases} 36x + 108x^2 + 72x^3 = 36x(1 + 3x + 2x^2) \\ -18x + 54x^2 - 36x^3 = -18x(1 - 3x + 2x^2) \end{cases}

h′(x)h'(x)とh′′(x)h''(x)はx=0x=0でつながっているので、h(x)h(x)をC2C^2級にすることができたのを確認できました。

このc(x)c(x)の滑らかさの異なるエルミート補間を、それぞれ3 次と5 次のエルミート補間と呼ぶことにします。

勾配の可視化#

サンプルコード 3.3 では、この 3 次エルミート補間と 5 次エルミート補間の違いを数値微分を使って勾配を計算し、定数ベクトルとの内積を取ることで可視化しています。

まずは、数値微分による勾配を取得しているgrad関数のコードを見てみましょう。

grad
// 数値微分による勾配の取得
vec2 grad(vec2 p) {
  float eps = 0.001; // 微小な増分
  return 0.5 * (vec2(
    vnoise21(p + vec2(eps, 0.0)) - vnoise21(p - vec2(eps, 0.0)),
    vnoise21(p + vec2(0.0, eps)) - vnoise21(p - vec2(0.0, eps))
  )) / eps;
}

微分係数の近似値は、コンピュータを使えば導関数を求めずとも直接計算することができます。
f(x)f(x)がC1C^1級であるのなら、微分の定義より十分小さいε\varepsilonをとれば、f′(x)f'(x)の近似値が得られます。

f′(x)≒f(x+ε)−f(x)εf'(x) \fallingdotseq \frac{f(x + \varepsilon) - f(x)}{\varepsilon}

これを使って微分係数の近似値を求めることを数値微分と呼びます。上記の式は前方差分と呼び、後方差分は次の式になります。

f′(x)≒f(x)−f(x−ε)εf'(x) \fallingdotseq \frac{f(x) - f(x - \varepsilon)}{\varepsilon}

さらに、前方差分と後方差分の平均値を中央差分と呼び、式は次のように定義されます。

中央差分=(前方差分+後方差分)2=f(x+ε)−f(x−ε)2ε中央差分 = \frac{(前方差分 + 後方差分)}{2} = \frac{f(x + \varepsilon) - f(x - \varepsilon)}{2\varepsilon}

grad関数では、x 方向は y 方向を固定してf(p+eps, p) - f(p-eps, p)を計算しています。y 方向も同様に x 方向を固定してf(p, p+eps) - f(p, p-eps)を計算しています。この値を微小な増分epsの 2 倍で割ることで、数値微分による勾配を取得しています。

最後に計算した勾配と、定数ベクトルとの内積を取ることで、勾配の可視化を行っています。

void main() {
  // ...
  fragColor.rgb = vec3(dot(vec2(1.0), grad(pos))); // 定数ベクトルとの内積
}

内積(dot)の計算は下記のようになります。

dot(vec2(1.0), grad(pos))
= grad(pos).x * 1.0 + grad(pos).y * 1.0
= grad(pos).x + grad(pos).y

このように定数ベクトルとの内積をとることで、「勾配ベクトルを(1,1)(1, 1)方向に射影」しています。


3 次エルミート補間と 5 次エルミート補間はvnoise21関数で使っています。下図はそれぞれの比較になり、C2C^2級の 5 次エルミート補間の方が滑らかになるでしょう。

3 次と 5 次のエルミート補間の比較
3 次と 5 次のエルミート補間の比較


注意事項

数値微分は一般に計算コストが高いので、高校で習うような普通の微分(解析微分)を使って導関数を求めたほうが描画を高速にできるでしょう。実装としては、問題 3.4 の解答のこちらを参考にして実装したい

次回リンク#

後で詳しく調べるものリスト#

参考書籍#

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<WikipediaEmbed title="文様群" />

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数学演算系のコードは以下に置いてます。

https://github.com/nono-k/webgl-study-note/tree/main/src/lib/webgl/math

3x3 行列(Mat3)

3x3 (Mat3)行列のクラスは次のようにしてます。 演算系の関数はMat3Funcで書いています。

import * as Mat3Func from "./functions/Mat3Func";

export class Mat3 extends Array<number> {
  constructor(
    m00 = 1,
    m01 = 0,
    m02 = 0,
    m10 = 0,
    m11 = 1,
    m12 = 0,
    m20 = 0,
    m21 = 0,
    m22 = 1
  ) {
    super(m00, m01, m02, m10, m11, m12, m20, m21, m22);
  }
  // ...
}

数式で書くと次のような行列表記になります。

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公開日:2025-12-20
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「リアルタイムグラフィックスの数学」勉強ログ - 第8章 3Dレンダリング
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「リアルタイムグラフィックスの数学」の第 8 章の 3D レンダリングについての勉強ログです。

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公開日:2025-10-11
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胞体ノイズとは?

値ノイズと勾配ノイズは格子点でのランダムな値を使ったノイズ関数でした。一方この章で学ぶ胞体ノイズは距離を使ってつくられます。胞体(セル)とは生物の細胞などのことで、胞体ノイズは「近さ」によって空間をバラバラに分割します。

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$$ \mathrm{min}(d(P, A_1), ... , d(P, A_n)) $$

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公開日:2025-09-30
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「リアルタイムグラフィックスの数学」勉強ログ - 第5章ノイズの調理法
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はじめに

「リアルタイムグラフィックスの数学」の第 5 章のノイズの調理法についての勉強ログです。

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再帰

再帰関数とは、関数の中で自分自身の関数を呼び出すような関数のことです。GLSL では再帰関数は使えませんが、for 文を使って再帰的な処理を行うことができます。

非整数ブラウン運動(fBM)

1 以下の定数 G に対し、1 変数ノイズ関数 noise(x)の周波数を 2 倍するごとに値を G 倍して、それを足し合わせてみましょう。式にすると次のようになります。

$$ noise(x) + Gnoise(2x) + G^2noise(4x) + ... + G^knoise(2^kx) $$

ここで素材となるノイズ関数 noise(x)はどのような関数でもいいですが、値の範囲を$[-0.5, 0.5]$区画にずらしておきます。このように加工されたノイズ関数は非整数ブラウン運動(fractional Brownian motion, fBM)と呼ばれます。

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公開日:2025-09-24
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「リアルタイムグラフィックスの数学」勉強ログ - 第4章勾配ノイズ
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「リアルタイムグラフィックスの数学」の第 4 章の勾配ノイズについての勉強ログです。

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勾配ノイズとは?

前回は値ノイズについて見てきました。値ノイズは計算量も少なく、簡単につくれるノイズですが、格子で区切っているのでブロック状に見えてしまいますし、ムラが現れやすいです。値ノイズを改善したノイズが勾配ノイズになります。

値ノイズの場合は、格子点での乱数の「値」を使うのに対し、勾配ノイズは乱数のベクトル値を「勾配」として使用します。ノイズ関数でよく使用されるパーリンノイズは、この勾配ノイズの一種であります。この章では、勾配ノイズと 2002 年の Perlin による改良版勾配ノイズ(パーリンノイズ)について見ていきます。

勾配ノイズの構成法

1 変数

値ノイズは乱数値をエルミート補間してつくりました。ここで別の見方として、$h(0) = 0$,$h(1) = 1$,$h'(0) = h'(1) = 0$ を満たすエルミート補間関数$h(x)$に対して、$w(x)$を次のように定義します。

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公開日:2025-09-20
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「リアルタイムグラフィックスの数学」勉強ログ - 第2章疑似乱数
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「リアルタイムグラフィックスの数学」の第 2 章の疑似乱数についての勉強ログです。

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レガシー乱数

GLSL ES 1.0 ではビット演算が使えないため、ハッシュ関数ではなくサイン関数を使用した乱数生成が行われていました。The Book of Shaders ではサイン関数を使用した乱数生成の方法が紹介されています。

https://thebookofshaders.com/10/?lan=jp

サイン関数自体には乱数性はないですが、サイン関数の値に大きい値をかけて桁を上げ、fractで小数部分を取り出すことで乱数のように見えることができます。

レガシー乱数の 1 変数と 2 変数のコードは次のようになります。

// 1変数のレガシー乱数
float fractSin11(float x) {
  return fract(1000.0 * sin(x));
}

// 2変数のレガシー乱数
float fractSin21(vec2 xy) {
  return fract(sin(dot(xy, vec2(12.9898, 78.233))) * 43758.5453123);
}
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公開日:2025-09-10
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「リアルタイムグラフィックスの数学」勉強ログ - 第1章補間
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はじめに

「リアルタイムグラフィックスの数学」の第 1 章の補間についての勉強ログです。

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線形補間とグラデーション

mix 関数について

GLSL における mix 関数は以下のような数式になります。

$$ \bm{a} + x\overrightarrow{AB} = \bm{a} + x(\bm{b} - \bm{a}) = (1 - x)\bm{a} + x\bm{b} $$

これは、線分 AB があり、その線分上を動く 0 以上 1 以下の x に対して、線分 AB を x: (1 - x)に内分する点の位置ベクトルを表しています。上記の式のベクトルをmix(a, b, x)として定義しています。このように 2 点間をつなぐことを補間と呼び、上記の式は線形補間(Linear Interpolation)の公式です。

コード 1.1 のように、赤(1, 0, 0)と青(0, 0, 1)を mix 関数でつなぐことで 2 色のグラデーションを作ることができます。

vec2 RED = vec3(1.0, 0.0, 0.0);
vec3 BLUE = vec3(0.0, 0.0, 1.0);
vec3 col = mix(RED, BLUE, pos.x);

赤と青のグラデーション

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公開日:2025-09-07
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#勉強ログ
勉強のために「リアルタイムグラフィックスの数学」のGLSLコードを確認できるサイトを作った

はじめに

シェーダに再挑戦したいと思い、「リアルタイムグラフィックスの数学」の本をまた読み直してます。

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勉強する際に、本に書いているサンプルコードを Web サイトですぐに確認できるように、Astro と Three.js を使用して GLSL コードを表示するサイトを作成しました。サイトはこちらになります。

リポジトリはこちらになります!

https://github.com/nono-k/book-of-realtime-graphics-math

勉強方法の方針

いったん、本を読みながらローカルの VSCode 上で GLSL コードを書いて確認して、Web サイトに GLSL のコードと実行結果のサムネをアップしていきたいと思います。

また、このブログで勉強した内容を章ごとに残していきたいと思います。以下はリンクになります。

Meta Data
公開日:2025-09-06
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#数学
読んだ本リスト
スリップの技法
スリップの技法
スリップの技法
本屋
ビジネス
著者
久禮 亮太
発売日
2017年10月30日

本屋に行く楽しみが増える一冊。

再販維持制度があるので、どの新刊書店に行っても、本の値段は一緒である。また本屋は仕入れた本を返品できたりするので、どの本を仕入れるかが、その本屋の独自性になる。

本書は、新刊書店の書籍に挟まっている細長い紙切れであるスリップの活用方法を書店員に向けて書かれている。書店員のために書かれた本ではあるが、そうでない人にも書店員の仕事が分かり楽しく読むことができるだろう。

本にはその本とつながりが作れる関連書籍が多数あるだろう。書店ではそれをたとえ違うジャンルであろうが、隣に並べたり、平台に載せて販売している。そうした関連書籍の作り方を、売れた本であることが分かるスリップから考えていく。

本屋の仕事の忙しさも読んで感じた。著者は、あまり本を読んではいないというが、関連書籍をつなげる豊富な知識に驚かされる。「読んでいない本について堂々と語る方法」に本の内容を読んでいないが全体を把握している司書の話が出てくるが、書店員も同じように、その本の文脈や全体像、分類を把握して本を売っているのだろう。

返品制度があるから、仕入れた本をすべて売り切るという発想ではないのだなと知った。ついでに手に取られた本が書店を維持するのに大切なのだ。

自分もいろんな新刊書店に行ってみて、書店員がすすめる「ついでの本」を買っていきたい。そんな風に感じた読書体験でした。本屋に行くことが好きな人におすすめです。

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公開日:2026-10-12
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#本屋
#ビジネス
炎の中の図書館 110万冊を焼いた大火
炎の中の図書館 110万冊を焼いた大火
炎の中の図書館 110万冊を焼いた大火
人文・思想・社会
著者
スーザン・オーリアン
発売日
2019年11月18日

1986年にアメリカ史上最悪の図書館火災があった。その場所は、ロサンゼルス中央図書館である。放火犯として疑われた青年は、俳優志望で虚言癖のある男である。彼の供述は二転三転するが、証拠不十分で刑事告発は見送られるし、火事から7年後に亡くなってしまうので、この火事の真相は分からずじまいである。

真相が分からない事件なので、書くことも少ないのであろう。ページ数が多いが、残りはこの図書館の歴史や、歴代の図書館司書などが短い章で書かれていて、非常に読みづらかった。

図書館そのものの話としては、公共性としての図書館の役割がアメリカと日本で違うのが印象的だった。ロサンゼルスではホームレスの人が多いらしい。図書館はその人たちにも無料で居場所を提供できる唯一の場所とのことだ。

燃えた後の本の扱いにも驚いた。なんと冷凍で保管するらしい。というのも濡れた本はカビが生えてしまうからだ。この冷凍庫の貸し出しに協力する企業の話も出てくる。町にとって図書館は大切な場所なのだろう。

関連サイト(外部サイト)
「炎の中の図書館 110万冊を焼いた大火」の参考文献一覧

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公開日:2026-10-07
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#人文・思想・社会
本屋、はじめました 増補版
本屋、はじめました 増補版
本屋、はじめました 増補版
本屋
著者
辻山 良雄
発売日
2020年1月9日

荻窪にある新刊書店「Title」の店主である辻山さんの著書です。
辻山さんは、Titleを開業する前にリブロという書店で働いていました。
前半ではリブロで働いていたなかで気づいたことを、後半ではなぜ新刊書店を開いたのかが語られます。

新刊書店を開く前に行う準備のことなどが、赤裸々に描かれており、新しく独立系の本屋を開きたい人に参考になる内容も多いかと思います。店の場所の選び方や、ロゴ、ブックカバーなどについての記載があります。

文庫版の増補では、単行本発行から五年が経過したその後のTitleのことが書かれています。売上や利益のことについても書かれてある。

印象的だったのが、人とのつながりのことだ。
小さなお店をやることは地域の人びととの結びつけが大切なのだろう。

新たに本屋をやりたい人も、小商いを始めたい人も、本屋のことが好きな人も参考になる1冊だと思います。

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公開日:2026-10-06
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#本屋
本棚の歴史
本棚の歴史
本棚の歴史
人文・思想・社会
著者
ヘンリー ペトロスキー
発売日
2003年12月31日

意外になかった本棚そのものの歴史に着目した本書。
著者は「フォークの歯はなぜ四本になったか」の著者で知られるペドロスキーです。

昔は今のような形態の本ではなく、古代では巻物の形であり、そこから冊子へと進化。そこから活版印刷の誕生と続く。ここで重要なのは、本と本棚が別々に進化するのではなく、本の形態が進化したら、それにともなって本棚の方も進化していくことだ。

本の保管の歴史は、巻物の時代は、ケースや箱に置かれていたり、冊子になると、戸棚や保管箱に進化する。写本文化が栄えると、書き取りしやすいように斜面をなす書見台が登場した。次第に蔵書の数が増加すると、ストール・システムが導入され、今見るような本の縦置きが始まることとなる。

ここで面白かったのは、昔の本の背には題名や著者名がなかったことだ。蔵書もまだ少ないころは、判別ができていたのだろう。また、本の背に何も書かれていないので、収納する時には背を奥にし、前小口を外側に向けて収納されていたらしい。

また、同時写本は貴重品だったので、本が盗まれたりしないように、鎖で書見台につながれていた。その前には鍵を使用されていたらしいが、複数ある鍵のタイプだったので、その煩わしさをなくすために鎖が使われたのだという。

本が鎖につながれていたことは、本棚の形態意外にも、建造物にも影響を及ぼすことになった。昔は電気もなく日の光がないと読めないことと、鎖につながれた本という事実が、イギリスでは歴史的な図書館の構造と発展を一七世紀末まで左右し続けたのだという。

このように本書では、本棚について語るために、本の歴史や保管する図書館についても語っている。後半では図書館の話が多くなってしまっていて、本棚ではあるが、期待していたものとは違うかなと感じた。もう少し個人の蔵書や本棚について読みたかったかも。

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「本棚の歴史」の参考文献一覧

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公開日:2026-10-03
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#人文・思想・社会
燃える平原
燃える平原
燃える平原
小説
著者
フアン・ルルフォ
発売日
2018年5月16日

燃える平原は17の物語からなる短編集である。
どの作品にも死が出てくる作品群を読んだことがない。
そこにまつわる復讐や親子関係、荒涼とした大地が作品を満たす。

作品の中で、気に入ったのは以下の3つ

  • コマドレス坂
  • タルパ
  • 殺さねえでくれ

今回再読したわけだが、どの作品も素晴らしい出来であったのに気づいた。
現在、岩波文庫版は絶版になっているが、見つけたら手にしてもらいたい。

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公開日:2026-09-26
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#小説
偶然の装丁家
偶然の装丁家
偶然の装丁家
デザイン
著者
矢萩多聞
発売日
2014年5月1日

「就職しないで生きるには21」
装丁家である矢萩多聞さんの著書になります。

「偶然の装丁家」とあるように、矢萩さんが装丁家として本をつくる仕事をするようになったのは、さまざまな縁があったからです。

本の前半では、矢萩さんの学生時代が語られます。不登校であった小学生時代。5年生でよい先生に出会い学校に通い出す思い出。だが中学校ではまた不登校に戻って学校に行かなくなってしまいます。

矢萩さんの父親もモノづくりの人で、木版画家であります。父親の影響から、はじめての海外はネパールに行き、そしてインドで暮らすことになります。

印象に残ったのは「その場にアジャストする」ことです。インドでは日本ほど生活がしやすくないで、でこぼこの国です。社会そのものがまっすぐな水平の上に建ってないから、人間のほうがアジャストする必要があるとの言葉になるほどなと思います。

本の後半では、いまの仕事である「本をつくる仕事」にフォーカスします。矢萩さんのはじめて出た本は、春風社という出版社から出た対談本になります。ここで矢萩さんは、はじめての装丁をすることになり、そこから今につながっています。

矢萩さんは個展などで絵を売ってたりもしましたが、装丁家を名乗るきっかけになったのが、安原顕さんとの仕事からだそうです。安原顕さんの最後の著書の装丁を手掛けたことで、著者にとってはどの本もかけがえない一冊で、最初で最後になる本かもしれないと思いました。小遣い稼ぎでやってしまったらまずいと、自分の仕事の重大さに気づいたそうです。


装丁家の人の本を読んだのがはじめてなのもあり、勘違いしていたことがありました。装丁家とは本の表紙だけをデザインするのではないそうです。

矢萩さんの「一冊の本ができるまで」は次のようになります。

  • 何はなくとも、まずは打ち合わせ
  • ラフづくりは果てしない
  • 修正するもの、しないもの
  • 紙選びと印刷

本のデザインをするためには、著者と編集者との打ち合わせが大切なことが伝わってきました。会話のなかから産まれてくるものがあるのです。

矢萩さんの人柄を表すエピソードで好きだったのが、ある会社の都合でデザイン料を安くしてくれと言われたときのことです。最初は腹がたったのですが、こう提案したのです。

「わかりました。きっとあなたも会社に言われて、融通をつけることができないんでしょう。デザイン料は改定後のものでけっこうです。ただし、その分、また仕事をください!」

なかなかこういう風に提案はできないなと関心しました。損をして得とる、抜け目ないインド人的発想かもしれないと著者は自己分析しています。

デザイン料に対してもそうです。装丁家はいくら本が売れたとしても、デザイン料は一定です。それに対し、装丁家にも印税制にすべきだ、と主張する人もいますが、矢萩さんは違います。

もし印税制になったら「たくさん売れる本をつくる」ことが目的になってしまい、おかしくなってしまいます。それよりも、装丁した本が有名になることで、新しい仕事につながることの方が良いといいます。このことを「目に見えない印税」と表現していて良いなと思いました。

このシリーズは「就職しないで生きるには」となっていますが、矢萩さんはあとがきで、就職しないで生きてほしい、とは思わないと書かれます。仕事を通じての人との出会いや繋がりのなかで、身の丈にあった「居場所」を見つけること。そんなことを読んで思いました。

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公開日:2026-09-30
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#デザイン
統計でウソをつく法
統計でウソをつく法
統計でウソをつく法
統計
著者
ダレル・ハフ
発売日
1968年7月23日

本書は50年以上前に出版されており、いまでも重版され、長いこと読み続けられている統計学のおもしろ本である。アメリカで1954年に発行となるので、事例が古いし、訳が読みにくいのが難点か。いまなら別の統計学の本を読んだほうがいいのかもしれない。

平均でだましたり、グラフをいじって誤用させる事例などは、今でも行われており、SNSでも取り上げられるので知っている内容は多かった。

本書が発行される前は、こうした統計でだます手法は本でしか知る由もなかったろうから、インターネットがない時代に生まれてなくてよかったと感じたかな。昔はだまされる人が多かっただろうと想像する。

最後の第10章「統計のウソを見破る五つのカギ」と題して、1~9章で紹介してきた統計のウソを見破るための方法が5つまとめられる。

  • 誰がそういっているのか?(統計の出所に注意)
  • どういう方法でわかったのか?(調査方法に注意)
  • 足りないデータはないか?(隠されている資料に注意)
  • いっていることが違ってやしないか?(問題のすりかえに注意)
  • 意味があるかしら(どこかおかしくないか?)

統計のウソを見破るためには、高度な数学など必要ないのだ。しっかりとした科学的な考え方や、ロジカルな考え方が必要なのである。

それはいつの時代でも同じであり、普遍的な内容なので、重版を重ねて読み続けられているのであろう。

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公開日:2026-09-28
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#統計
雑学者の夢 (グーテンベルクの森)
雑学者の夢 (グーテンベルクの森)
雑学者の夢 (グーテンベルクの森)
人文・思想・社会
著者
多木 浩二
発売日
2004年4月20日

ベンヤミンに倣っていえば、私は、自分について書かないことで自分の文体を作ってきた

本書では読書体験を書くという前提があるから、ある程度、著者自身のことも書くことになる。一般的な読書遍歴といった形ではないため、どのように読んだらいいかが難しかった。

多木さんの仕事は幅広いが、自身のことを美術史家とか、建築評論家とか、写真評論家とかの、なんらかの肩書きで示すことはできないと云う。専門家にならなかったのは、好奇心があらゆるものに拡がっていったからという部分に僭越ながら共感を得る。

沢山の本を読まれてるだろうが、博識な著者でも読んだ本について、忘れていることも多いと書かれているのは安心できる。

書物とは物体ではない。生きている人間の経験のなかで変質もし、消滅もするテクストなのである。再読することは、埋もれた記憶を掘り起こす行為である。かつて読んだ書物の内容を思い出すのではない。忘却のあいだに経験した世界によって、変形された記憶として想起することなのである。

ロラン・バルト、ソシュール、バンヴェニスト、ベンヤミン、フーコーと辿る読書遍歴の歴史。ある種の知識人である著者の読書の軌跡を見せてもらえる。多木さんの著書はまだ読んだことがないので、これから読んでみたいと感じた。

関連サイト(外部サイト)
「雑学者の夢 (グーテンベルクの森)」の参考文献一覧

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公開日:2026-09-26
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#人文・思想・社会
「感想文」から「文学批評」へ: 高校・大学から始める批評入門
「感想文」から「文学批評」へ: 高校・大学から始める批評入門
「感想文」から「文学批評」へ: 高校・大学から始める批評入門
批評
著者
小林真大
発売日
2021年2月25日

このブログから読者感想文を書くようになったが、ありきたりなことしか書けなかいことが課題だったので本書を読んだ。タイトルからハウツー本だと思ったが、ロマーン・ヤーコブソンが提唱している文学批評の六つの型を丁寧に解説している入門書だった。

ロマーン・ヤーコブソンの文学批評の六つの型は以下のようになる。

  • 作家論(作者重視)
  • ニュークリティシズム(メッセージ重視)
  • 読者論(読者重視)
  • 構造主義(コード重視)
  • イデオロギー批評(コンテクスト重視)
  • メディア・スタディーズ(接触重視)

文学批評のタイプは、「作品の真の意味がどこにあるのか」という問いに対して、どの角度から論じるのかによって分類できるという。なのでタイプによっては、限界や批判がある。その歴史的経緯などを本書では丁寧に説明してくれるので、文学批評の入門書として最初に手にとってよかった。

こうした事例を通じて、文学作品の評価は、社会の変化とともに変わり続けることが理解できる。批評家によって作品の価値を、批評を通じて人々に伝えることができる。批評家が社会に及ぼす影響を忘れないようにし、批評をはじめる前に、必ず覚えておかないと終章で締める。

自分はどのタイプで文章を書いていこうか。幸いにも文学批評の概観を本書で知れたし、参考文献も豊富なので、その他の本も読んで良い文章を書けるようになりたい。

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「「感想文」から「文学批評」へ: 高校・大学から始める批評入門」の参考文献一覧

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公開日:2026-09-26
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#批評
誤解学
誤解学
誤解学
人文・思想・社会
著者
西成 活裕
発売日
2014年5月22日

「渋滞学」で著名な西成活裕氏は、誤解のことをこう書く

誤解とは、コミュニケーションの流れにおける渋滞のようなものである。誤解はそれまでの流れの様子を一気に変化させ、関係者にとって好ましくない状態を作り出してしまう

そもそも誤解が発生してしまうメカニズムとは何であるのか。
第二章では誤解の理論を構築していく。

理論構築のためには因果関係を表すモデルを作成し分析する。このモデルをIMV分析と呼ぶ。それぞれ下記の頭文字をとったものだ。

  • Iはintension(真意・意図)
  • Mはmessage(情報)
  • Vはview(見解)

誤解は自分の意図と相手の見解のズレで発生する。つまりI ≠ Vのときだ。

その他にも、自分の意見がどれぐらい保持するのかを表す頑固度K、VとIがどれくらいズレるかという指標、ズレを表す伝達度Gの変数も分析には含まれる。

ここで数理モデルの面白さを感じたのは、頑固度Kと伝達度Gが一定で変化しない条件のときではあるが、二者のコミュニケーションの最終合意がどこに行きつくかがシミュレーションで予測できることだ。

この条件の元だと、先手有利の法則になり、最初に話しかけた方が有利になるとのことだ。
このようなことが理論的に示せるのが興味深いと思った。

もちろん実際には、変数である頑固度や伝達度は会話のやり取りで変化するので、より複雑になるであろう。このことも本書で書かれていたらよかったが、残念ながら本書ではカバーしきれていない。

複雑さまで書かれていないのが不満ではあったが、数理モデルの面白さを知る上での良い入門書ではあるだろう。

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「誤解学」の参考文献一覧

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公開日:2026-09-22
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#人文・思想・社会
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