服飾文化論: 服飾の見かた・読みかた

服飾文化論: 服飾の見かた・読みかた

著者
小池 三枝
発売日
1998年4月30日

人間だけが衣服を着ている。衣服には機能や表現も含まれる。

本書では、衣服を人間と動物とを区別するレベルで考えるのではなく、人間存在として長いあいだに培われてきた文化として考えていく。長い時間を経て、衣服を着ることが、人びとの心とどのようにかかわるのかということに焦点をあてている。

「服飾」という語があるが、「飾」とあるように、単に着るものをあらわすだけでなく、美的な意味を文字から読みとることができよう。何らかの楽しみや喜び、記号とされた制度、あるいは感動を見いだすことのできる衣服をとりあげ語っていく。

そこには文学作品に出てくる服飾も、意味を読みとることができる。文字だけの情報でありながら、服飾それ自体の描写で、身につけている人物の年齢・性別・職業・趣味・教養・性癖・経済状態などを示す一種の記号である情報を付与することができ、登場人物を読者に印象づける役割をもつ。

服飾はつねに、着る人とかかわり、また時代の動きとかかわりながら、さまざまな訴えかたをし、さまざまな美を実現するのだ。

ここでとりあがられる事例のほとんどは日本のものとなる。過去において日本人が服飾にいかにこまやかな感情を抱いてきたかを見つめ直すキッカケになるだろう。長い歴史をもつ衣服について、考えさせられる一冊となる。

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