複雑性とパラドックス: なぜ世界は予測できないのか?

複雑性とパラドックス: なぜ世界は予測できないのか?

著者
ジョン・L.カスティ
発売日
1996年9月30日

われわれは直観に反する挙動を観た際に「驚き」が生じる。驚きという言葉は、現実に対するわれわれの描像と本当の現実とが合致していないことにきづいたときの感じ方を伝えるものである。

科学では、現実に対する描像を表現するのに、あるモデルを構築して表す。現実が複雑すぎるので、このモデルはたいてい簡潔な数学の言葉で表されることになる。科学的視点で見ると、現実世界での経験を数学的形式の記号と規則へとコード化し、その形式を使って将来についての予測を行おうとする。つまり驚きとは、モデルが自然に適合していないことの帰結にすぎないのだ。

本書は、なぜ驚きが発生するのか、多様な事例から下記にある6個の驚き生成メカニズムをみていく。

  • 論理的錯綜
    • パラドキシカルな結論
  • カタストロフィー
    • なめらかさからの不連続性
  • カオス
    • 決定論的ランダム性
  • 計算不可能性
    • ルールを越えた出力
  • 還元不可能性
    • 部分に分割できない挙動
  • 創発性
    • 自己組織的パターン

複雑系という対象を「驚き」というわれわれの持つ普遍的な機能を通して、主観の側から描き出す本書。何が複雑であるかはそれをどう見るかにかかっている。対象(客観)としての複雑系だけでなく、主観の側の認識過程をも包含した科学「驚きの科学」を語っており面白い1冊です。

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