「「愛」と「性」の文化史」の読書感想

「「愛」と「性」の文化史」の読書感想

著者
佐伯 順子
発売日
2008年11月9日

「愛」や「性」という言葉は、昔から現在と同じような意味で存在していたのではない。これらの言葉は、日本の歴史の過程で誕生したものであり、私たちの恋愛観や性愛観も、こうした歴史の過程抜きでは語れないことを著者は述べる。

本書では、「愛」や「性」という言葉が、現在の私たちになじみのあるような意味で使われる以前の男女関係のあり方を、文学作品や絵画といった様々な表現のなかから考察する。

例えば、江戸時代の春画の話では、スピリチュアルの視点で考察される。当時は「笑い絵」と呼ばれていたものだが、交合も笑いも、ともに神の力によって幸いを得る宗教的パワーを持つものと信じられてきたのではという。それゆえに、春画では遊女が少ないとのこと。それはスピリチュアルなパワーが期待できないからなのだと。

このことからも、春画というメディアが西洋的「ポルノグラフィー」の枠組みでは捉えられないことが知れる。明治の文明開化後に西洋からの「愛」や「性」といった、概念が入ってくるのだ。

その他にも、与謝野晶子の「貞操」と「処女」論、谷崎潤一郎の夫婦恋愛小説家としての面や、御伽草子の夫婦の「情」、心中の変容、高齢化社会における恋愛の将来などについて考察される。

文学作品からの考察なので、実態はどうだったのかが述べられてないのが気になったが、日本における「愛」や「性」の変容について知れる一冊となります。

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