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「鏡映反転――紀元前からの難問を解く」の読書感想
紀元前プラトンからの難問であった鏡映反転の謎について見ていく。
鏡映反転とは、「鏡に映ると左右が反対に見える」現象だ。
実をいうと光学的にいえば、「鏡面に垂直な方向だけを反転し、鏡面と平行な方向は反転しない」となる。
なので、鏡と正対しているときは、前後は反転するが、上下も左右も反転しないといえる。純粋に物理的な観点からみれば、「鏡が左右を反転するのはなぜか?」という問題は存在しないともいえる。
だが、実際に左右が反対に見えるし、それはなぜなのかという疑問が残るだろう。なので、鏡映反転の問題は物理的な問題ではなく、人間の認知の問題となってくる。
いままでに鏡映反転のさまざまな説明が、著名な物理学者や心理学者から出されていたが、どれも矛盾や批判があり、定説がないのが鏡映反転の現象である。自分自身の鏡映反転を説明しようとすると、文字の鏡映反転に矛盾が生じ、逆もしかりである。
そこで著者は、自分自身の鏡映反転と文字の鏡映反転は、それぞれ別の原理から生じると考える。
「表象反転・視点反転・光学反転」の3つの現象からなる多重プロセス理論を提唱する。
4章からは、実験結果をもとに多重プロセス理論の説明を行う。また、理解を深めるために他説の反証なども行っている。
レビューなどにあるように、この多重プロセス理論にも批判はあるようだ。
本書を読んで鏡映反転現象を説明する複雑さを感じる。そもそも鏡映反転という現象が複雑なのだ。理論を単純にすると、説明できない現象が出てきてしまうし、他説とのせめぎ合いもある。
装丁だけ見たら面白サイエンス本だと思ったが、実際には精緻に科学的な説明を行っており、誠実な本でありました。また光学的な現象だと思ったら、心理的認知の話でもあるなど、色彩関連と似たような現象が鏡映反転にもあることを知れてよかったです。
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