「タタール人の砂漠」の読書感想

「タタール人の砂漠」の読書感想

著者
ディーノ・ブッツァーティ
発売日
2013年4月16日

イタリアの著者ディーノ・ブッツァーティの長編三作目に当たる「タタール人の砂漠」
訳者解説でも書かれているが、「幻想小説」の世界的古典として知られるが、ここにはいつの時代の人々にも当てはまるものが含まれているだろう。

主人公ジョヴァンニ・ドローゴは将校で、俗世から隔離された娯楽ひとつない砦での勤務に当たる。若さを自覚する主人公は、理想的な未来を想像するが、時の流れは残酷だ。

一度は故郷に戻るが、再び砦に戻ってしまうのはなぜか。先輩中佐が先に退官する場面、反対のことを願いながら敵が来ることを話す。ほぼ三十年というものの、同じ砦で過ごし、同じ敵を待ち続けていたが、ふたりの道は分かれるのだ。

はたして敵は来るのだが、そのころにはドローゴは年を取りすぎていた。読者は主人公を青年時代から見てきたが、役立たずな老人として他の若い兵士に見られながら砦を去るドローゴを見る。

まさに不条理といってもいい小説なのだ。
だが人生もそんなものかもしれない。

Info