君の話
- 著者
- 三秋 縋
- 発売日
- 2018年7月18日
夏になると再読したくなる好きな小説。
村上春樹の「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」を長編にしたような小説。
この小説には作者の三秋縋の思想が込められている気がする。物語の最後で主人公である、天谷千尋がヒロイン夏凪灯花と一緒の義億技工士の職業に就き、彼の発案した義億にその思いが込められている。
この世界では、架空でも現実でも物語を必要としている人がいて、自分が創り出した作品が誰か一人だけでも理解してくれればいい。それはある種、呪いのように思い続けても。そんなことを感じる小説です。
こんな作品を創れたら、そんなに簡単に次回作なんて出せないでしょう。そんな風に作者に対して畏怖の念と羨ましさを感じられる小説です。