刺青とヌードの美術史 江戸から近代へ

刺青とヌードの美術史 江戸から近代へ

著者
宮下 規久朗
発売日
2008年4月24日

美術史から見ていく、現代社会におけるヌードのあり方や、日本人の裸体観について考察する本書。明治初年(1868)に「肌脱ぎ禁止令」が発効される。このことは、それ以前までは裸になることが取り締まられなかったことだ。現代では考えられないが、その当時の日本は、人前で半裸や裸でいる機会が多く、裸そのものでいることは性的な意味合いを持たなかったらしい。

日本人の裸体観を考える上で、日本人の精神と肉体を二分して考えない身体観に注目する。春画では、西洋のギリシア的な理想化された裸体としてのヌードという理想がないために、本能の赴くままに放恣に流れ、性的要素ばかりを強調して描かれていたということか。

目に見えない「心(精神)」と、物質である「身体(肉体)」を本質的に異なる別個のものとして捉える、心身二元論という西洋のヌード観が、当初は受け入れられなかった理由ではないかと著者は説く。

この反対の思想としての日本の裸体芸術として、刺青をあげる。刺青は生きた芸術である。血色が良い肌に施されているから、映えるのであって、死んでしまうとこの芸術作品も消滅してしまう。

分離せず結びついているもの。
肉体の表面の装飾と内面の人格が対応する刺青こそ、日本的な裸体芸術なのかもしれない。

関連サイト(外部サイト)
「刺青とヌードの美術史 江戸から近代へ」の参考文献一覧

Info