「トト・ザ・ヒーロー」をみた
映画「トト・ザ・ヒーロー」をみたので感想。
概要
老人ホームに暮らすトマ。彼は自分が産院の火事の際に隣に住む裕福なカント家の息子フレッドととり違えられたと信じ、それによって全ての幸福が奪われてしまったと思いこんでいる。彼の脳裏には、様々な思い出が蘇ってくる。TVの名探偵トトになるのを夢見たこと、大好きな姉のアリスがカント家に火を付け、炎の中に消えてしまったこと…。時がたち、青年になった彼はアリスそっくりの女性と出会い愛し合うようになるが…。
おかしな誕生
ある日どこからともかく何者でもない僕が”ドスーン”と落ちてきた。“大きな船が僕を見つけてパパとママの所へ”とママから聞いた
この映画の主人公であるトマは3姉弟で、姉アリスと自閉症の弟セレスティンがいる。自分の誕生のことを、上記引用のように語るトマ。だが彼は、産院の火事の際に隣に住む裕福な家庭のカント家の息子アルフレッドと取り違えられたと思い込んでいる。
一方、姉アリスの方は、「パパがママの手をなめたら、アリスが生まれた」と少年トマは語る。ちなみに弟のセレスティンは洗濯機から生まれたと語る。なんともおかしな語り手だ。
失われたもの
トマの父親は飛行機乗りだったが、カント氏の発注によりジャムの仕入れで嵐の中、英国に飛び行方不明となってしまう。この出来事により、トマとアリスは父の復讐を誓うことになる。
だがアリスがカントの家に火を付けた瞬間、炎の中に消えて亡くなってしまう。このような出来事もあり、映画冒頭の老年になっていたトマは、アルフレッドへの憎しみがまだ消えないままで、彼の殺人を企てることとなるのだ。
幻影との出会い
映画の中盤では、トマの青年時代が描かれる。街で亡くなった姉の面影を映すエブリーヌと出会ってしまう。彼女は夫がいる身でありながらも、トマとの関係を深めていくことになる。性格もアリスに似ているところがあるだろう。洋服屋での万引き事件を平気でやってたりするのは、アリスも同様だ。この万引きは車で逃げるのだが、最初は笑顔で走り出すが、徐々に暗い表情になるシーンは、映画「卒業」のラストシーンを思い出した。
このエブリーヌ、実はアルフレッドの妻だったことが、彼女の家に行った際に知る。トマはそのことと、姉の面影に似ていたのはアルフレッドがエブリーヌを着飾っていたからだと昔の彼女の素朴な彼女の写真を見て気づく。トマは、そこから電車で逃げ出してしまう。
3つの時間軸の交錯
この映画は、老年時代のトマの回想シーンで構成された映画です。キーワードとして「反復」があるでしょう。ある人物が言った言葉が、他のシーンで暗示される場面が多かったのが印象的です。
その中でも好きなシーンは、アリスとエブリーヌの手のシーンである。どちらもベッドに寝転び、手を上に挙げ「私の手すき?」と聞かれます。青年時代のトマは、亡くなった姉のことを思い出し、ベッドから抜け出すのである。
見た目が似てるだけでもなく、性格や行動まで似ている彼女に、トマは強く惹かれてしまうのである。



