【月報】2026/03 トポロジーなる超無限
美術館
大西茂 写真と絵画 - 東京ステーションギャラリー

位相数学(トポロジー)を応用し、写真と絵画で独自の創造的な表現を探求した大西茂の展覧会を東京ステーションギャラリーで観ました。
大西が探求した「超無限」とは、あらゆるものが矛盾した状態で成立すること。写真によって本来現実にはありえない現象を可視化しようとしているのか、大西の写真の特徴として、多重露光・ソラリゼーションがある。また、現像した写真には筆による書のようなイメージが入っているが、これは偶然性を狙ってたとのことである。
ある意味現在のジェネラティブアートのランダム性みたいなことを、1950年代に写真で表現しているのが興味深かった。自分はマン・レイやダダイズムなどの写真史について詳しくないので、多重露光やフォントモンタージュの文脈について知りたいと思った。
吉田璋也のデザイン - 新作民藝運動がめざした未来

笠間にある茨城県陶芸美術館で、吉田璋也の展覧会を観ました。今回の展覧会で初めて吉田璋也について知ることができました。
吉田璋也は鳥取出身の民藝運動家で、柳宗悦の民藝運動に共感して活動をしたみたいです。展覧会では吉田璋也がデザインされた器や、家具などが展示されていましたが、本職?は医者なのを調べてびっくりした。自身の医院などは、ご自身が設計した建築になっているみたいです。木製で出来た診察椅子なども置かれた診察室を再現した展示もありました。
展示してあるものとしては、牛ノ戸焼が印象的でした。青緑と黒の釉薬を掛け分けた器がきれいでした。
本
映画のなかのロゴマーク 視覚言語と物語の構造
以前、映画に出てくるインターフェースについて書かれた本について読んだことがあるが、本書では映画に出てくるロゴマーク・シンボルマークについて書かれている。
象徴の機能を担う図形をシンボルマークと呼び、装飾化・図案化した文字列がロゴタイプとなり、これら二つを組み合わせたものをロゴマークと呼ぶ。
映像制作に出てくる小物や標章などの視覚情報は、制作者が意図的にコントロールして物語の文脈をつくることが多い。なので、著者は映画を題材にそこで出てくる視覚情報と呼べるロゴマークに着目し、その形態や色彩からシンボルの本質から作品にどのような深みを出しているのかを解説している。
ロゴマークから映画について考えることがなかったので、またひとつ映画の見方・楽しみ方の視点を与えてくれる1冊となった。
プリンシプル オブ プログラミング 3年目までに身につけたい 一生役立つ101の原理原則
本書は、よいプログラミングを書く上で指針となるプリンシプル(原則)を章立てで紹介している。プリンシプルとは、よいプログラミングのためのエッセンス(普遍的・定説的・本質的な知識)とも言えるでしょう。
経験豊富なプログラマーにとっては、聞いたことや実践している内容が多いと思う。副題にあるように経験が浅いプログラマーの方に読んでみて、本書にある豊富なプリンシプル(原則)を頭に入れておくのがいいでしょう。
抽象的な概念のみが紹介されており、サンプルコードなどは無いが、各原則には出典書籍や関連書籍が記載されてるので、本書を足掛かりに他の本を読むブックガイド的な使い方をするために、ぜひ手元に置いてみてください。
ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち
ポールグレアムのエッセイを本書ではじめて読んですごく面白かった。
好みはあるだろうが、訳の文体が個人的には読みやすく自分には響いた。
特に前半のエッセイが好き。「どうしてオタクはもてないか」「口にはできないこと」「格差を考える」なんて筆が乗りすぎている。
ポールグレアムのエッセイはWeb上でも読めるので、原文がどうなっているのかも読んでみたい。また、本書に載っていないエッセイを個人的に訳してみたいと思った。
達人プログラマー(第2版): 熟達に向けたあなたの旅
本書では役に立つTipsがたくさん載っていますが、自分に響いたTipsを3つ紹介します。
良い設計は悪い設計よりも変更しやすい
第2章達人のアプローチにはETC(Easier To Change)原則という考え方が出てきます。これは簡単に言えば「コードの変更をしやすくする」ことです。
プロジェクトの開発中や運用の段階で、仕様変更が発生することは多々あります。その際に、関数の責務が単一でなかったり、変数名が役割と一致してなかったりすると、修正コストが高くつきます。
なので、日頃からETC原則を意識して、DRY原則や直交性、命名規則などを徹底して「変更用意なコード」を書いていきたいと思った。
アルゴリズムのオーダーを見積もること
これは所謂O記法のことです。あまり、単純なループ記法がO(n)アルゴリズムであることなど、アルゴリズムのオーダーについて意識して書いていなかったので、意識して書きたいと思った。
ただし、時期尚早の最適化には注意が必要で、アルゴリズムの改良はその部分がボトルネックになっている場合のみ行いたいです。
プログラマーの仕事は、人々自身が欲しているものを自らで気付いてもらえるように支援すること
クライアントが最初に語られるニーズは、本当の要求ではないことが示唆されています。経験が浅いプログラマーは言葉通り受けて失敗してしまいます。
達人プログラマーの場合は、クライアントが述べたことから引き起こされる結果をクライアントにフィードバックし、双方で考え話し合うことでクライアントが本当に欲していることを気づかせます。
自分も今は、仕様を額面通りに受け取り実装しているだけの現状なので、そのような支援ができるようなプログラマーになりたいと思いました。
Coders(コーダーズ) 凄腕ソフトウェア開発者が新しい世界をビルドする
今の世の中で影響を与える物を作っているのは、エンジニアなのだから、彼ら彼女らがどういう人々なのかを知ろうというのが本書。本書ではコーダーと呼ばれているが、日本だとエンジニアと同じ意味だと思っていいだろう。
著者は多くのIT起業家や、コーダーにインタビューをし、「コーダー」と呼ばれる職業の誕生から現状までを章ごとにまとめている。
印象に残ったのは、多様性が大切だということだ。エンジニアは世の中に影響を与える物が作れる人たちなのに、そこで多様性がなく同じ趣向の人たちだけが集まれば、製品をリリースしてから想定もしていないことが起きる。例えば、TwitterなどのSNSでいじめやハラスメントの温床になっている現状だ。
本書では、歴史的には最初の時期は女性プログラマーが多かったが、徐々に女性の割合が少なくなってきた経緯なども紹介している。本職がプログラマーでない人でも読みやすい書籍だと思うので、世界に影響を与える物を作っている「コーダー」の実体に興味がある人はぜひ読んでみてください。
SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル 第2版
今月は、プログラミング・ソフトウェア開発に関する本を重点的に読みました。
その中で、本書はプログラミングなどの技術的なことについては、ほとんど書かれてないですが、マインド面でやる気が出る内容でした。
本の感想はこちらにも書いていますので、興味がある方はぜひ読んでみてください。
喫茶店文学傑作選
大西茂の展覧会を観に行くのと神保町に行く際に、東京行きの電車の中で読みました。
このアンソロジーは「喫茶店」という括りで、短編小説やエッセイが28篇収録されています。
短く読める作品が多いですが、どの作品も良かったです。
好きだった作品を7つこちらで紹介しています。
映画
パルプ・フィクション
午前十時の映画祭で10年振りぐらいに「パルプ・フィクション」を観ました。
タイトルにあるパルプとは、粗悪な紙に印刷された低俗な題材を扱った雑誌や本のこと。映画はエピソードごとの時系列がバラバラになっている構成です。
マフィアのボスは、自分の妻ミアに足のマッサージをした男をマンションから突き落とした話が、ヴィンセントとジェームスの会話で出てくる。そんな足のマッサージよりも、ミアがヘロインでオーバードースを起こしてしまい、この出来事を2人だけの秘密にするってことの方が、エロティシズムだ。
パルプ・フィクションのオープニングシークエンスのフォントが気になったので調べてみた。このフォントで合っているのだろうか?
- タイトル : Rama Slab Exp Heavy
- ドロップシャドウ付きの太字の文字がカッコいい。
- クレジット : ITC Benguiat
- 大文字の「A」の横棒が特徴的で、最初はニューシネマ・パラダイスで使われている「Marbold Normal]かと思ったが、調べてみたら「ITC Benguiat」というフォントみたい。
ロゴマークの書籍を読んだばかりだったので、映画に出てきた架空の企業のロゴマークも気になった。
- ビッグカフナバーガーのテイクアウト用紙袋
- 劇中では、ロゴはほとんど上半分しか写っていない。
- ブッチを乗せた黄色いタクシー
- ドアの横に、タクシー会社のロゴが描かれている。
レオン 完全版
こちらも午前十時の映画祭で10年振りぐらいに鑑賞。
前に観たときは、面白かった気がしたけど、10年振りに観たレオンは全然刺さらなかった。
他所の感想では、BGMが素晴らしいと書かれているが、いかにもって感じで集中できなかった。また、12歳の少女に殺しの現場を見させる(マチルダは殺しはやってないけど)影響などを考えてしまい、お話に集中できなかった。
前に観たバージョンが、通常版だったから面白かった影響もありそう。
砂丘
ずっと観たいと思っていたアントニオーニの「砂丘」をやっと劇場で観ることができた。
やはり、カメラワークや構図がすごすぎる。特に、砂漠でのシーンは、幻覚ではあるが複数の男女が白い砂漠で転げるように抱き合っているが、白の纏いが石膏の彫刻のようですごい。
また、アントニオーニ監督特有のカットとして、壁を背景に男女が話し合っているシーンが出てきて、これがアントニオーニ監督だよなっと感動した。
「砂丘」は、アントニオーニ監督の初のアメリカでの作品になっている。食べ物に注目してみると、アメリカの撮影だからか、ハンバーガーとアメリカ風のピザが出てくる。そこで、ダリアはハンバーガーを手に持っているが、食べない。
ダリアが運転している車内では、りんごを齧るシーンが2回ほど出てくる。りんごは知恵の果実の象徴ではあるが、このことが何を意味するのだろうか。幻覚や夢想から覚めることができたのか。最後の大爆発のシーンでも、スローモーションでりんごや冷凍肉、きらびやかな服が舞うが、爆発しているのに形が残った状態のまま飛ぶ。
音楽
TOMORA - SOMEWHERE ELSE
サムネで気になった1曲。
TOMORAは、シンガーソングライターのAuroraとケミカル・ブラザーズのTom Rowlandsがコラボしてできたプロジェクトらしい。
新譜が来月リリースとのことなので楽しみ。
For Tracy Hyde - Interdependence Day (Part I)
今月はずっとフォトハイを聴いていました。
もう解散して3年くらい経つのか。
フォトハイがいない世界は寂しい。







