【月報】2026/04
目次
美術館
コレクションの舞台裏 ―光をあてる、掘りおこす。収蔵品をめぐる7つの試み 埼玉県立近代美術館

埼玉県立近代美術館でのコレクション展を観に行きました。
今回の企画展では7つのテーマで展示されていたのですが、どれも素晴らしかったです。
特に印象的だったのは「②田中保、アトリエへの招待 ―パリの新発見資料から」と「④点を打つ ― 村上善男の美術と研究」でした。
②田中保、アトリエへの招待 ―パリの新発見資料から
田中保は埼玉県岩槻市出身で、18歳で渡米し、シアトルとパリで活躍した画家になります。
裸婦像が印象的でした。他の美術館で観る機会があまりないので、今回の展示で知り、観ることができてよかったです。
展示方法として印象的だったのは、抽象画です。この抽象画では、キャンパスの裏面に彼の妻にあてた詩が書かれており、展示でも裏面が見えるように展示されていました。これは図録の表紙にもなっています。
また、地下にあるMOMASコレクションでは、パウル・クレーの二重肖像が展示されており、これも表面と裏面に絵が描かれており、このような作品があるのだなと知ることができてよかったです。
④点を打つ ― 村上善男の美術と研究
村上善男は岩手県盛岡市出身で独自の東北の作家論や、気象図、釘打ちと呼ばれる絵画シリーズが代表にあります。
展示では「R系の気象」など気象図を元にした作品がよかったです。自分もWebGL作品で、気象をテーマにした作品を作りたいと思いました。また、展示では寄稿していた美術手帖があり、昔の美術手帖などの雑誌を集めたいと思いました。
本
観音像とは何か 平和モニュメントの近・現代
全ページ読書メモを取るくらいに濃い内容で、久しぶりに関連書籍なども含めて知的好奇心が刺激される本でした!本書では、ほかの平和モニュメントとは異なる観音像の役割を明らかにするべく、近代以降の観音像の歴史を通史的に描いてその独自性が考察されています。
本の感想はこちらにも書いていますので、興味がある方はぜひ読んでみてください。
病いと癒しの人間史 - ペストからエボラウイルスまで
タイトルから歴史や人類学についての本かと手に取ったのですが、内容は感染症の専門家である著者が、感染などの病気を題材にした紀行文的要素のあるエッセイ集になっています。
あらゆる国の偉人(医者、作家)などを題材に36編のエッセイが収録されています。文学などにも精通する著者の読書量に感服すると共に、読みやすい文章で書かれているので面白かったです。
コロナ前の時期に書かれていますが、パンデミックでの物流やインフラなどの危機に関しては、ほんとにその通りだなと思いました。
はじめての圏論 ブンゲン先生の現代数学入門
ブルーバックスで圏論の入門書が出たので読みました。
一般の人でも圏論の概念が伝わるように簡易に書かれたとありますが、正直なところ難しく感じました。
ですが、圏論的な概念は現実世界にも見いだせること。この概念を日常の言語で表現するのは難しいので、圏論の言葉で「関係性」を表現できるようになれたらいいなと思いました。
フラットランド たくさんの次元のものがたり
フラットランドという、二次元の国に住む主人公の正方形。我々は三次元の世界で住んでいるが、正方形氏の視点からの彼の世界(二次元)の描写が面白かったです。
様々な階級が出てくるが、これは当時(19世紀)のヴィクトリア朝の階級社会などを風刺しているらしい。それというのも、この本が出版されたのは1884年なのだが、とてもそんな昔に書かれたとは思えないぐらい先進的で驚きました。
数学は言葉
いまだに集合論などで出てくるような論理記号の読み解きが苦手です。大学以上の数学関連の勉強をする際に、記号がたくさん出てきた途端、何を意味しているのかが分からなくなってしまいます。
本書では、日本語で書かれた数学の問題を、数学の記号を用いて表現することを「数訳」と呼び、日常の日本語での曖昧から明確な数学の定義がなぜ重要なのかを書かれています。
「数学の問題を解くとは、日本語で書かれた問題を数文に正しく訳し、その上で知っている数学技法を使って処理することを意味する」という文章が印象的でした。
ニコラ・テスラ 秘密の告白
本書はニコラ・テスラが遺した数少ない著作で二点載っている。
印象に残ってることは、第Ⅰ部です。テスラの自伝的な章になっており、青年期についての告白が赤裸々に書かれています。
長い間、自分のことを発明家であるとは思っていなかったみたいです。それというのも、自分の頭の中にふと浮かび上がるなどの外的な刺激により、自分の思考や行動が自動的に形成されていると感じてたからのようです。このことから、自動機械(オートマトン)という発想が生まれたのだと思います。
第Ⅱ部では世界システムについて書かれています。自然からのエネルギーを得る方法。テスラの人類愛はどこから来るのか、興味深いです。
せどり男爵数奇譚
せどり男爵こと笠井菊哉が出会う事件の数々を描いた小説。せどりっていっても、今のブックオフなどでのせどりではなく、舞台はもう少し昔のお話。
昔の古本屋についてや古書について知れて面白い。
お話は6編収録されているが、一番最後に収録の作品で装丁の話が出てくる。それも普通の装丁ではなく人の皮を使った装丁の話だ。この話が一番エログロって感じだが、人皮を使った装丁の本が気になったので下記の本も読んでみたいと思った。
映画
ラストタンゴ・イン・パリ
オープニングはフランシス・ベーコンの2点の絵画から始まる。
オープニング後、列車が走るパリの街、カメラは上からマーロン・ブランドを捉え顔を歪めながら叫びます。
とにかく構図と光と影の描き方がよかった。自殺した妻の義母とのシーンでは、表と裏の2面性といった感じで、ドアで区切られてるようにシーンが切り替わっています。また、すりガラス越しで顔を映すしているシーンも印象的でしょう。
中年男のポール(マーロン・ブランド)は、アメリカ人だが、今はパリに住んでいます。
街の外では、彼はフランス語を話すが、若い女との逢引の部屋では、彼は母国語である英語で話しています。字幕だけで観ていると気づかないところですね、なぜ名前を明かさず、素性も話さないでいるこの部屋でだけで、彼らは英語を話すかについて考えてみたいです。
ラストシーンでこの映画が現実とリンクしているのではと震えました。
ご存知のように、この映画は監督はじめスタッフが、マリア・シュナイダーに、バターを使用した性行為シーンを撮ることを事前に伝えずに撮影したことで問題となっております。
シュナイダーは、撮影後に精神的なダメージを受けたと語っています。映画のラストで、付きまとうポールのことを、引き出しの中にあった銃でポールを撃ち殺したあとに、ジャンヌは「知らない人に追いかけられた。私をレイプしようとした。名前も知らない人よ。そう、名前も知らない人…。」と、自分に言い聞かせるようにつぶやいたシーンとリンクしていると感じてしまいました。
魅力的に見えていたとき(撮影中)、相手の素性を知り覚めてしまった後(撮影後)のラストのカメラワークと光と影の構図が衝撃的でした。
マリア・シュナイダーについて書かれている本も読んでみたいなと思いました。
音楽
Swapmeet - I Know!
どことなくMr Twin Sisterぽくあり好きな感じ。
近く聞こえるボーカルの質感がいいですね。
最近のバンドぽいので注目です!








