【月報】2026/06 BOY MEETS GIRL

【月報】2026/06 BOY MEETS GIRL

目次

美術館#

野見山暁治―空にあそぶイメージたち - 大川美術館#

野見山暁治―空にあそぶイメージたち - 大川美術館
野見山暁治―空にあそぶイメージたち - 大川美術館

大川美術館にて野見山暁治の展覧会が開催されていたので行ってきました。氏が101歳のときに手掛けた、ポスターに載っている「当てにならない」という作品がよかった。

コレクション展の「ハイレッド・センターのアーティストたち」が一番印象に残った。ハイレッド・センターとは、高松次郎・赤瀬川原平・中西夏之の3名によって1963年に結成された集団。特に高松次郎「影 No248」の作品が、何も掛けられていないフックなので、板に鍵の影が写っている作品で面白い。中西夏之は、11月に茨城県近代美術館で展覧会があるので、そちらも行ってみたいと思った。

本#

絵画を読む イコノロジー入門#

イコノロジー、日本語で書けば「図像解釈学」とは、作品を成立させている因子、歴史的・社会的・文化史を総合的に再構築し、作品のもつ本質的な意味を探索することである。このイコノロジー研究の第一人者は、パノフスキーであるが、日本の著者で30年前にイコノロジー入門として書かれたのがこの本である。

専門家や時代によって絵画には様々な解釈が生まれうる。この本も30年前に書かれた本なので、新たな解釈が出ているだろう。だが、絵が描かれた当時の歴史・社会などの知識を知ることで、各々の鑑賞者の解釈ができ、感性だけでない絵を観る楽しみ方ができるだろう。

ヒルマ・アフ・クリント関連#

ちょうど一年前に東京国立近代美術館で開催されていたヒルマ・アフ・クリントの展覧会に行って、図録なども買っていたのですが、今月はようやくヒルマ・アフ・クリント関連の書籍を読むことができました。

自分がヒルマ・アフ・クリントを知ったのは、ドキュメンタリー映画の「見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界」からです。このドキュメンタリー映画を観たときは、スピリチュアリズムや神秘主義、女性5人のグループ「De Fem」の交霊会などの背景知識がない状態でしたし、展覧会に行った際も特に予習せずに行きました。

今回、関連書籍を読んでみて、アフ・クリント作品の背景情報を知ることができました。ヒルマ・アフ・クリントについて知れる書籍や映画について紹介した記事も書いているので、そちらも参考にしてみてください。

失われた芸術作品の記憶#

時代を経た作品が美術館などにあることが、当たり前のように感じてしまうが、実際にはさまざまな理由で失われた芸術作品もある。本書は、さまざまな理由をテーマにして、失われた作品を紹介している。

その理由には、窃盗・戦争・事故・偶像破壊などさまざまだ。そうした不可抗力で失われた作品もあれば、一時的にしか存在しない作品や、作者自身で破壊した作品もあげられる。内容はとても興味深く、図版がカラーで読みやすいのでおすすめです。

アート・プロデュース概論#

本書で書かれているアートとは、展覧会・イベント・コンサートなどの芸術活動を指す。そのなかでもアートとビジネスを結びつけるプロデューサーの役目について書かれている。アートの基礎概念からはじまり、著者が自ら企画制作、運営をしてきたプロデュース事例など教科書的に書かれる。正直、期待していたものとは違うかなといった内容だった。

イギリス的風景: 教養の旅から感性の旅へ#

旅や田園の変容を通じてイギリスを見ていく本書。古典教養を学ぶために、イタリアへと旅した「グランド・ツアー」から考察がはじまる。その後、ピクチャレスクの概念や、徒歩による旅である「ペデストリアン・ツアー」など、教養のための旅から、美しい自然を感じる感性の旅への変貌をたどる。

人々を旅に駆り立てた要因としては、旅行記や絵画がある。本書では様々な作家の旅行記や画家についての記述があり、面白い1冊でした。

春本を愉しむ#

帯にあるように、お咎めのないエロは、エロではない春本についての案内書。禁書指定を免れるために、「暗号春本」なるもので、ひらがなの字形を変換して免れようとしてたりなどのエピソードが面白い。

古典春本である「壇ノ浦枕合戦」は、日活ロマンポルノとして映画があるらしいので観てみたい。

刺青とヌードの美術史 江戸から近代へ#

理想化された裸体としての「ヌード」という芸術様式は、西洋固有のものであった。価値観が異なる日本が、明治以降に入ってきたこの「ヌード」という様式をどのように受け入れたのかが、考察される本書。ケネス・クラークの「ザ・ヌード」をいつか読みたいと思っていたが、最初に本書を読んで、西洋と日本の異なる価値観などを知ることができたので、よかった。

タイトルに「刺青」とあるが、刺青についての記述は最後の1章のみである。刺青は、近代の裸体画から抜け落ちてしまっている日本の裸体芸術として取り上げる。以外にも、民俗学や文化人類学では研究されているが、美術史という文脈での研究はないらしい。

日本人の裸体観とは何なのか。美術から見ていく1冊になっています。

ブルーフィルムの哲学: 「見てはいけない映画」を見る#

藤田敏八監督の映画が好きなので、いつか日活ロマンポルノの映画をまとまって観たいと思っている。ブルーフィルムについて知らない状態で本書を読んだが、ブルーフィルムとは、ポルノ映画ではあるが、公に上映されている映画のことではない。無修正に性描写がある映画で、製作することも、上映することも違法のポルノ映画のことだ。

こうしたブルーフィルムがあったことについて、忘れられつつある。著者は、高知の大学に勤めていた時に、ブルーフィルムに出会い、ブルーフィルムとは何かと本書を通じて問いかける。違法なポルノ映画であるゆえに、作品自体が十分に残されていない。なので本書は、ブルーフィルムに関して描かれた文学・映画・漫画などの資料から、論じていく。

ブルーフィルムが今の時代に再び「現れるに値する」ことを証明しようとする1冊です。

有害図書の本#

有害図書とは長野県を除く全国46都道府県が条例で定めた「青少年の健全な育成にとって有害な図書類」のことである。この歴史や、各都道府県の現状、実際に有害図書指定を受けた著者へのインタビューなどが書かれている。

東京都では、「不健全図書」という名称が使われていたが、成人にとっても有害であるかのような誤解を生じるとして、2024年に「8条指定図書」という名称に変更されたことなど、知らないことが多く、勉強になった。本の後半では、指定された図書の紹介があるが、セレクトがおじさんぽくて、本当に青少年のための条例なのか?と疑問を投げかける。

「本」とともに地域で生きる#

地域の本屋・図書館・ローカルメディアを紹介する本書。著者が島根県出身であることから、西日本の本屋などが多かった。あまり西日本に行く機会はないが、こうした地域の本屋や図書館などを訪れてみたいと思った。

映画#

ドリーマーズ#

舞台は1968年、五月革命前夜のパリ。米国留学生のマシューは、文化革命のデモの最中、イザベルとテオという美男美女の双子の姉弟に出会う。このデモはシネマテーク擁護運動という現実にあったものだ。シネマテークを創設したラングロワが当時の文化相により更迭されたことを受け、トリュフォー、ゴダールなどが擁護運動に乗り出した。映画が摘発されるということは、社会に影響を及ぼす革命的な要素がこの時代にあったことがうかがえる。

これまでベルトルッチ監督の作品を観て、「幻想が幻想として機能しなくなる」といった特徴があるが、本作も顕著だろう。3人での映画当てゲーム(インサートされる白黒映画やオマージュが素晴らしい)、両親が旅行中での閉鎖空間での淫らな性。ラストに家の窓ガラスが割れ、「街が部屋へ!」と叫ぶイザベル。外ではデモの運動が起きている。暴力は解決にならない、頭をつかうのだというマシューの言葉は届かずに、姉弟はデモ隊の人波へと消え警官に火炎瓶を投げつけて、警官がカメラの方へ突撃してきてエンドロールになる。

タイトルのドリーマーズは、「夢を見る人」「夢想家」という意味だ。この映画の時間感覚もおかしい、明るい場面だと思ったら、次の瞬間には暗い場面になっている。夢の中にいるような感覚だ。夢から醒めたのはマシューだけなのが、悲しいラストだ。

音楽#

CYNHN - 春を攫った#

CYNHNの新曲。
サビのボーカルのミックス?がおかしくて耳に違和感が残る。サビでこういうことしていいんだって思った。

littlegirlhiace - BOY MEETS GIRL#

今月は、littlegirlhiaceの新譜ばかり聴いていた。
アルバムの流れがいいですね。
チェンソーマン触れてないけど、見たほうがいいのかな。

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【月報】2026/08 複雑系なシンクロ

美術館

ゲームと美術 信長の野望 - 栃木県立美術館

ゲームと美術 信長の野望 - 栃木県立美術館

自分が信長の野望をプレイしてないのと興味があまりないのが悪いのだけれども、かなり微妙な企画展だった。展示としてプレイ映像が多く、ゲーム開発の資料などが無かったので、美術館でやる意味を感じられなかった。インタラクティブな体験とあるが、最後にゲームがプレイできるだけであり、こちらもかなり微妙であった。

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公開日:2026-08-31
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#月報
【月報】2026/07 世界は鳴りひびく

美術館

プレイバック!ミレニアム1991→2001:版画が/版画で越えた境界 - 町田市立国際版画美術館

プレイバック!ミレニアム1991→2001:版画が/版画で越えた境界 - 町田市立国際版画美術館

町田の版画美術館で開催されていた展示会に行ってきた。以前開催された5つの展示会を振り返る構成。自分は版画などの複製技術が好きなのだが、その中でも、複数の材料/メディアの組み合わせだったり、コラージュの技法を使用された作品が好きだということを再認識した。

町田市立国際版画美術館には初めて行ったが、版画美術館って名称の割に企画展しか展示がなく、所蔵作品が観れる常設展示がないのは少し残念だった。

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公開日:2026-07-31
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#月報
【月報】2026/05 幾何学風景 モダンガール

美術館

森光子展 幾何学風景 ― 足利美術館

森光子展 幾何学風景

五角形や三角形などの幾何学的な形と鮮やかな色彩の組み合わせの作品が多く、とても参考になった。二次元のキャンバス上に描かれた作品だけでなく、立体物やネオン管での作品もあった。立体物では、影が出来る箇所に意図的に濃い色が塗られているのが、実際に近くで観て分かり面白かった。

美術館に行くといつも感じることですが、同じテーマで作品を作り続けるアーティストのすごさを感じる。自分は、興味があることがたくさんあり目移りしてしまうので、そろそろテーマを決めて向き合わなくてはいけないと思う。

まずは、自分も黄金比について探求してみて、模倣でもいいから幾何学的な作品を作り始めようと思った。

中原淳一展 - 栃木市立美術館

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公開日:2026-05-31
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#月報
【月報】2026/04 I Know!

美術館

コレクションの舞台裏 ―光をあてる、掘りおこす。収蔵品をめぐる7つの試み 埼玉県立近代美術館

コレクションの舞台裏 ― 埼玉県立近代美術館

埼玉県立近代美術館でのコレクション展を観に行きました。 今回の企画展では7つのテーマで展示されていたのですが、どれも素晴らしかったです。 特に印象的だったのは「②田中保、アトリエへの招待 ―パリの新発見資料から」と「④点を打つ ― 村上善男の美術と研究」でした。

②田中保、アトリエへの招待 ―パリの新発見資料から

田中保は埼玉県岩槻市出身で、18歳で渡米し、シアトルとパリで活躍した画家になります。 裸婦像が印象的でした。他の美術館で観る機会があまりないので、今回の展示で知り、観ることができてよかったです。

展示方法として印象的だったのは、抽象画です。この抽象画では、キャンパスの裏面に彼の妻にあてた詩が書かれており、展示でも裏面が見えるように展示されていました。これは図録の表紙にもなっています。

また、地下にあるMOMASコレクションでは、パウル・クレーの二重肖像が展示されており、これも表面と裏面に絵が描かれており、このような作品があるのだなと知ることができてよかったです。

④点を打つ ― 村上善男の美術と研究

村上善男は岩手県盛岡市出身で独自の東北の作家論や、気象図、釘打ちと呼ばれる絵画シリーズが代表にあります。

展示では「R系の気象」など気象図を元にした作品がよかったです。自分もWebGL作品で、気象をテーマにした作品を作りたいと思いました。また、展示では寄稿していた美術手帖があり、昔の美術手帖などの雑誌を集めたいと思いました。

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公開日:2026-04-30
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#月報
【月報】2026/03 トポロジーなる超無限

美術館

大西茂 写真と絵画 - 東京ステーションギャラリー

大西茂 写真と絵画 - 東京ステーションギャラリー

位相数学(トポロジー)を応用し、写真と絵画で独自の創造的な表現を探求した大西茂の展覧会を東京ステーションギャラリーで観ました。

大西が探求した「超無限」とは、あらゆるものが矛盾した状態で成立すること。写真によって本来現実にはありえない現象を可視化しようとしているのか、大西の写真の特徴として、多重露光・ソラリゼーションがある。また、現像した写真には筆による書のようなイメージが入っているが、これは偶然性を狙ってたとのことである。

ある意味現在のジェネラティブアートのランダム性みたいなことを、1950年代に写真で表現しているのが興味深かった。自分はマン・レイやダダイズムなどの写真史について詳しくないので、多重露光やフォントモンタージュの文脈について知りたいと思った。

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公開日:2026-03-31
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#月報
【月報】2026/02 風を映し出す方法

美術館

北條正庸 風の旅 - 宇都宮美術館

北條正庸 風の旅 - 宇都宮美術館

地元の宇都宮を拠点に活動している北條正庸の個展に行きました。 個人的に初期作品の、色彩の階層のグラデで奥行きを表現している作品だったりが好きでした。風をテーマにしていることもあって、雲の白が引き伸ばされていたり、自転車に乗っている少女の作品では、モーションブラーの効果を絵で表現すると、ただのブラーではない絵の具の擦りや滲みのような技法になっていて勉強になりました。

作家の作業机の展示もありました。後期はグリッドを意識した作品が多く、机にもそのグリッドが描かれていたり、モンドリアンの影響からか、モンドリアンの書物などが沢山置かれていました。印象的だったのは、乗り物の模型(電車、飛行機)です。電車の模型自体は、展示されていた作品に描かれてはいませんでしたが、作業机に置いてあるのが、遊び心がありいいなと思いました。

作業机の書物の中にもあったのと、北條さんおすすめの本として以下の本が売店にあって購入したので読むのが楽しみです。

<AmazonLink imageId="81exLSRKU+L.SY522" linkId="4azBHCn" title="喫茶店文学傑作選" author="林 哲夫" />

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公開日:2026-02-28
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#月報
【月報】2026/01 うみだした物象から、ぼくはなにいろか。どうかんじるか。

美術館

ファッションとアートの幸福な関係 - 笠間日動美術館

ファッションとアートの幸福な関係 - 笠間日動美術館

笠間日動美術館は好きな美術館でよく行きます。今回の企画展は笠間日動美術館所蔵の中から女性たちのファッションの変遷に着目した作品が何点か展示されていました。副社長の長谷川智恵子の肖像画が 7~8 点くらいありました。

ポスターの松樹路人「ベネチアン・グリーン」が印象深かった。グリーンのドレスが透けて見えるような描写と、青リンゴが印象的。

笠間日動美術館には、鴨居玲の展示が一室あり、気になっていて本も購入したので読むのが楽しみ。2 月から石川県立美術館で没後 40 年の企画展があるけれど気になる。3 月くらいに雪が積もっていなければ行ってみたいな。

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公開日:2026-01-30
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#月報
【月報】2025/12 建築に興味をもつ

美術館

磯崎新 群島としての建築 - 水戸芸術館

引用:水戸芸術館

水戸芸術館で磯崎新の回顧展を観ました。自分は以前茨城県に住んでいたのですが、恥ずかしながら水戸芸術館を設計者である磯崎新さんのことを今回初めて知ることができました。

回顧展として半世紀以上に渡るキャリアを、建築模型や図面、映像などを用いて紹介されています。自分が好きだったのは、シルクスクリーンとして遺した「還元」シリーズです。

引用:https://www.misashin.com/news/isozaki-arata-art-tower-mito/

水戸芸術館の塔は水戸市内でも特徴がある建物ですが、三角形ですべてできていることに今回はじめて気づくことができました。

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公開日:2025-12-31
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#月報
【月報】2025/11 はじめて美術館のシンポジウムにいってみる

せっかく雑記ブログを作ったので、今月から月報をつけていくことにしました。毎年、1 年が短く感じてしまうので、あとからも振り返られるようにしたいとの思いもあります。

美術館

今月は美術館に 2 回行きました。

絵本のひみつ展 - 栃木県立美術館

絵本のひみつ展 - 栃木県立美術館

絵本のひみつ展では、宮城県美術館の絵本原画コレクションが展示されてる企画展でした。 今まで絵本に興味は持っていなかったのですが、はじめて原画で見て、さまざまな画材や技法の質感を目にして、絵本作家に対して興味を持つことができました。

この展示で気になった作家

  • 林明子
    • 「いってらっしゃーいいってきまーす」
  • 矢吹申彦
    • 「きょうりゅうがすわっていた」
  • 太田大八
    • 「だいちゃんとうみ」
  • 山本忠敬
  • 長新太
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公開日:2025-11-30
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#月報
読んだ本リスト
誤解学
誤解学
誤解学
人文・思想・社会
著者
西成 活裕
発売日
2014年5月22日

「渋滞学」で著名な西成活裕氏は、誤解のことをこう書く

誤解とは、コミュニケーションの流れにおける渋滞のようなものである。誤解はそれまでの流れの様子を一気に変化させ、関係者にとって好ましくない状態を作り出してしまう

そもそも誤解が発生してしまうメカニズムとは何であるのか。
第二章では誤解の理論を構築していく。

理論構築のためには因果関係を表すモデルを作成し分析する。このモデルをIMV分析と呼ぶ。それぞれ下記の頭文字をとったものだ。

  • Iはintension(真意・意図)
  • Mはmessage(情報)
  • Vはview(見解)

誤解は自分の意図と相手の見解のズレで発生する。つまりI ≠ Vのときだ。

その他にも、自分の意見がどれぐらい保持するのかを表す頑固度K、VとIがどれくらいズレるかという指標、ズレを表す伝達度Gの変数も分析には含まれる。

ここで数理モデルの面白さを感じたのは、頑固度Kと伝達度Gが一定で変化しない条件のときではあるが、二者のコミュニケーションの最終合意がどこに行きつくかがシミュレーションで予測できることだ。

この条件の元だと、先手有利の法則になり、最初に話しかけた方が有利になるとのことだ。
このようなことが理論的に示せるのが興味深いと思った。

もちろん実際には、変数である頑固度や伝達度は会話のやり取りで変化するので、より複雑になるであろう。このことも本書で書かれていたらよかったが、残念ながら本書ではカバーしきれていない。

複雑さまで書かれていないのが不満ではあったが、数理モデルの面白さを知る上での良い入門書ではあるだろう。

関連サイト(外部サイト)
「誤解学」の参考文献一覧

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公開日:2026-09-22
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#人文・思想・社会
本屋という仕事
本屋という仕事
本屋という仕事
本屋
著者
三砂 慶明
発売日
2022年6月14日

日本全国各地の書店員たちが、本について、本屋という仕事についての語る。

ただ本が好きだから売るのではなく、本屋として商売としてどう成り立たせるのか様々な思いが綴られている。

また、ある書店員さんは、本屋の「棚づくり」について語られており、本屋さんの思いがあらわれる場所なのだと感じた。

紙の本が好きだし、本屋という場所が好きなので、これからも微力ながら応援したい場所だ。

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公開日:2026-09-22
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#本屋
鏡映反転――紀元前からの難問を解く
鏡映反転――紀元前からの難問を解く
鏡映反転――紀元前からの難問を解く
心理学
著者
高野 陽太郎
発売日
2015年7月15日

紀元前プラトンからの難問であった鏡映反転の謎について見ていく。
鏡映反転とは、「鏡に映ると左右が反対に見える」現象だ。

実をいうと光学的にいえば、「鏡面に垂直な方向だけを反転し、鏡面と平行な方向は反転しない」となる。
なので、鏡と正対しているときは、前後は反転するが、上下も左右も反転しないといえる。純粋に物理的な観点からみれば、「鏡が左右を反転するのはなぜか?」という問題は存在しないともいえる。

だが、実際に左右が反対に見えるし、それはなぜなのかという疑問が残るだろう。なので、鏡映反転の問題は物理的な問題ではなく、人間の認知の問題となってくる。

いままでに鏡映反転のさまざまな説明が、著名な物理学者や心理学者から出されていたが、どれも矛盾や批判があり、定説がないのが鏡映反転の現象である。自分自身の鏡映反転を説明しようとすると、文字の鏡映反転に矛盾が生じ、逆もしかりである。

そこで著者は、自分自身の鏡映反転と文字の鏡映反転は、それぞれ別の原理から生じると考える。
「表象反転・視点反転・光学反転」の3つの現象からなる多重プロセス理論を提唱する。

4章からは、実験結果をもとに多重プロセス理論の説明を行う。また、理解を深めるために他説の反証なども行っている。

レビューなどにあるように、この多重プロセス理論にも批判はあるようだ。
本書を読んで鏡映反転現象を説明する複雑さを感じる。そもそも鏡映反転という現象が複雑なのだ。理論を単純にすると、説明できない現象が出てきてしまうし、他説とのせめぎ合いもある。

装丁だけ見たら面白サイエンス本だと思ったが、実際には精緻に科学的な説明を行っており、誠実な本でありました。また光学的な現象だと思ったら、心理的認知の話でもあるなど、色彩関連と似たような現象が鏡映反転にもあることを知れてよかったです。

関連サイト(外部サイト)
「鏡映反転――紀元前からの難問を解く」の参考文献一覧

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公開日:2026-09-21
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#心理学
これからの本屋読本
これからの本屋読本
これからの本屋読本
本屋
ビジネス
著者
内沼 晋太郎
発売日
2018年5月25日

「本の惑星」というポットキャストのパーソナリティでもある内沼さんの著書になります。
本屋をめぐる状況と、本の仕入れ方、流通の仕組み、本屋の経営について書いてあります。

前半は本と本屋の魅力について書かれています。
「本が好き」「本屋が好き」とことばにする人が増えたとありますが、今ほど情報に簡単にアクセスできない、昔は「好きだから」ではなく「必要だから」本屋に人が来ていました。けれどいまは、必ずしも生活に必要なものではなくなったことで、逆に「好き」という気持ちが健在化してきたからなのでは、という分析はなるほどなと思いました。

本を売る場所のことばとして、「書店」と「本屋」ということばがありますが、これらの違いにも触れられています。「書店」は空間・場所寄りの意味になり、「本屋」は「屋」の字から、本をそろえて売買する人、本を専門としている人のことで、人寄りのことばになります。

内沼さんは一貫として「本屋」ということばを使っています。本を専門としている人のことも積極的に、広義の「本屋」と呼んでいき、本というものは、そういう人たち抜きには成立しないからです。

このことは、後半の小さな本屋を続ける考え方につながっています。現状、本を売るだけで生計を立てることは難しいでしょう。「本」と「何か」の掛け算の本屋運営のすすめが書かれています。

また、本屋を本業に取り込む考え方や、逆に副業としての本屋について述べられており、だれもが広義の本屋としてのライフワークになれるのだと思いました。

自分としては、このブログでやっているように、読んだ本の紹介を続けていきたいのと、街のシェア本棚や一箱古本市に参加してみたいと思いました。

本が好きな人、いつか本屋をやってみたい人におすすめの1冊になります。

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公開日:2026-09-19
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#本屋
#ビジネス
印刷に恋して
印刷に恋して
印刷に恋して
印刷
著者
松田 哲夫
発売日
2002年1月9日

1997年から2001年の印刷現場の体験レポート。今では見ることがなくなった、活版印刷や手動写植などの技術や職人たちの仕事ぶりが描かれている。表紙にある内澤旬子さんのイラストもステキです。

コロタイプのような写真製版、網点などが好きなことを再確認。
箔押しなどの特殊印刷にも触れられており勉強になった。

本の感想はこちらにも書きました!

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公開日:2026-09-18
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#印刷
「読者」の誕生―活字文化はどのようにして定着したか
「読者」の誕生―活字文化はどのようにして定着したか
「読者」の誕生―活字文化はどのようにして定着したか
文化論
人文・思想・社会
著者
香内 三郎
発売日
2004年12月9日

著者の専攻が、マス・コミュニケーション論とイギリス言論史なのもあり、本書は主に十七世紀のピューリタン革命期イギリスを舞台に近代ジャーナリズムの発展をみていく。

これもメディア論といえるのだろう。メディア論というと、どうしてもデジタルやテレビなどの媒体を連想させるが、手書き文字、パンフレット、活字も対象になる。こうした媒体が人びとの意識をどのように変容させてきたか。それにはキリスト教との関連で見ていかなければ理解できない。

なので、本書の前半で中世初期の「イコン論争」の分析から始まる。そこから偶像崇拝のイメージ論争、聖書の読み方の解釈(字義通りの意味など)などをみていく。

イギリス史では、ミルトンやホッブズ、デフォーなどの論客が対象にした「読者像」を考察し、近代ジャーナリズムの発展を追っていく。


タイトルからの想像と外れて、十七世紀イギリスの話が大半であり、特に宗教についても詳しくないので読み進めるのが大変だった。聖書解釈によって論争が生まれるなんて怖いって思ったり。

著者の専攻なので仕方がないが、「読者」を語るのに十七世紀イギリスばかりを扱っていいのかとも思った。もう少しキリスト教との関連もタイトルに含まれていたら...。

この時代に疎いので勉強になったが、日本の「読者」像を知りたくなったので、この本(近代読者の成立)も次は読んでみよう。

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公開日:2026-09-14
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#文化論
#人文・思想・社会
新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング
新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング
新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング
文章術
著者
唐木 元
発売日
2015年8月6日

文章術に関しての本を読んだことがなかったので、中盤からの基礎的な部分が参考になった。だが問題は、自分の文章を客観的に添削してくれる人がいないことなんだよな。文章を読み返したりしても、違和感や正しくない文章を自分では気付けないのが問題だ。文章術の本を他にも読んでいけば身につくのだろうか。

とりあえず文章術に関しての1冊目としては、悪い本ではないと思いました。
若干上から目線なのは気になる部分ではあるが...
他にも文章術についての本を読んでみよう。

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公開日:2026-09-11
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#文章術
働きたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える「人と言葉」
働きたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える「人と言葉」
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AI
言語学
著者
川添愛
発売日
2017年6月16日

機械学習・ディープラーニング・ベクトル化などの理系と、言語学などの文系が関わってくるこの分野の話は、とても興味があり面白い。「言葉が分かる」ことや「意味が分かる」ということは、普段の生活では意識することがないであろう。だが、人間ではない機械のことを考えると、途端に私たち人間の凄さが現れてくるのが人工知能についての話を読む面白さか。

機械で人間の言語能力を再現しようとするときに、難しくなる要因は、「人間の無意識の能力」にあります。無意識の能力とは、言葉の曖昧性や会話的含み、意味理解など多数あり、本書を読むと私たち自身についても考えさせれることとなります。

また、言語学は何を目的にした学問なのか、この本を読むまで知らなかったのですが、こうした「人間の無意識の能力」を科学的に解明することを目標にしていることを知れたのもよかったです。

「言葉がわかる機械」をめぐるイタチたちの物語と、その物語からの解説といった形になっており、人工知能について誰でも読みやすく工夫されているのもいいですね。

関連サイト(外部サイト)
「働きたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える「人と言葉」」の参考文献一覧

Meta Data
公開日:2026-09-11
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#AI
#言語学
インフィニティ・パワー: 宇宙の謎を解き明かす微積分
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サイエンス
数学
著者
スティーヴン・ストロガッツ
発売日
2020年1月27日

高校時代に微積分で挫折した人は多いと思う。無味乾燥な記号操作をして、その意味を理解することなく、暗記して問題を解いてる人もいたのでは。ストロガッツが書くこの本では、一般の人に伝わるように微積分についての歴史的事実、エピソードや活用事例を、ときには数式も交えながら分かりやすく書いてくれる。

数学に縁がない人にも読めるように、大学数学で登場するイプシロン-デルタ論法などは出てこないで、タイトルにある「無限」の威力をで分かりやすく微積分を説明する。

微積分それ自体については知っている知識ではあったし、例えを用いることでかえって分かりづらくなっていると感じたのが難点か。

この本では、数学史のエピソードの話が面白いと思った。

第4章の「微分の夜明け」では、デカルトとフェルマーが出てくるが、この2人は仲が悪かったらしい。というよりも、デカルトがかなり悪い感じに描かれており、こんな人だったなんて知らなかった。

他の同時代の2人の話では、ニュートンとライプニッツの話が出てくる。彼らの微積分への思いつきは別々のルートで到達したという話は面白い。ニュートンは、運動と流れを好んで無限小を否定して定理にたどり着いたのに対し、ライプニッツは無限小を便利な簡略表記と捉え、極限に関する議論を作り直す有効な手段として定理にたどり着いた。

無限小といったものは、現実に存在しないわけで、ライプニッツと彼の学徒たちにとっての無限小は、有用な「心の創作」として存在したという表現が印象的だった。

簡易的なモデルではあるが、自然を数学で表現できること自体、凄いことである。
「無限」もまた存在しないが、数学の発展に寄与したという物語を知れば、数学への苦手意識も減るのではないか。そんな著者の思いから産み出された1冊なので、ぜひ読んでもらって微積分の素晴らしさを実感してもらいたい。

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「インフィニティ・パワー: 宇宙の謎を解き明かす微積分」の参考文献一覧

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公開日:2026-09-09
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#サイエンス
#数学
服飾文化論: 服飾の見かた・読みかた
服飾文化論: 服飾の見かた・読みかた
服飾文化論: 服飾の見かた・読みかた
ファッション
著者
小池 三枝
発売日
1998年4月30日

人間だけが衣服を着ている。衣服には機能や表現も含まれる。

本書では、衣服を人間と動物とを区別するレベルで考えるのではなく、人間存在として長いあいだに培われてきた文化として考えていく。長い時間を経て、衣服を着ることが、人びとの心とどのようにかかわるのかということに焦点をあてている。

「服飾」という語があるが、「飾」とあるように、単に着るものをあらわすだけでなく、美的な意味を文字から読みとることができよう。何らかの楽しみや喜び、記号とされた制度、あるいは感動を見いだすことのできる衣服をとりあげ語っていく。

そこには文学作品に出てくる服飾も、意味を読みとることができる。文字だけの情報でありながら、服飾それ自体の描写で、身につけている人物の年齢・性別・職業・趣味・教養・性癖・経済状態などを示す一種の記号である情報を付与することができ、登場人物を読者に印象づける役割をもつ。

服飾はつねに、着る人とかかわり、また時代の動きとかかわりながら、さまざまな訴えかたをし、さまざまな美を実現するのだ。

ここでとりあがられる事例のほとんどは日本のものとなる。過去において日本人が服飾にいかにこまやかな感情を抱いてきたかを見つめ直すキッカケになるだろう。長い歴史をもつ衣服について、考えさせられる一冊となる。

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公開日:2026-09-06
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