「喫茶店」という括りで、短編小説やエッセイが28篇収録されています。
どれも素晴らしい作品が収録されてましたが、ここでは好きだった作品を7作紹介します。
散歩 - 水野仙子
夫婦が銀座の喫茶店に出かける過程で、2人の関係のすれ違いを描いている作品。
ここでは喫茶店はおしゃれして出かける場所だと描かれている。また、喫茶店でウーロン茶を飲みに行くらしい。
夫婦2人の関係が冷え切っていることが、言動や行動に現れ、男女の機敏を巧みに描いた良作。
結局、喫茶店の前まで来たが、立ち寄らないで帰ってしまう。その後の夫がツカツカと前に歩いてしまうのが悲しい
アップルパイ、ワン!! - 中戸川吉二
喫茶店の中での出来事が描かれている。主人公の男は休憩するために喫茶店に立ち寄る。
そこで喫茶店に慣れていない中学生の少年と店のボーイとのやり取りが描かれる。
題名の「アップルパイ、ワン!!」のやり取りがおもしろい。
東京に喫茶店が二百軒しかなかったころ - 植草甚一
昭和初期の喫茶店の様子が描かれる。
植草甚一は喫茶店で出されているマッチ・レッテルを集めていたらしい。
そんなマッチ・レッテルを集めていたからか、その当時の東京には喫茶店が二百軒くらいしかなかったと言えるらしい。
マッチ・レッテルのデザインのことや、喫茶店の中や周辺について書かれていて、昭和初期のころが知れる。
喫茶店・ラドリオ - 伊達得夫
著者に強烈な記憶に残っている喫茶店の話。
神田神保町で舗装されてない露地に立つ喫茶店・ラドリオ。
そこではコーヒーよりもにがくジュースよりも甘い物語を日々すごしていたらしい。
喫茶店での出来事がそんな思い出になっていることに対する羨ましさを感じる。
新宿 = 風月堂 - 山崎朋子
喫茶店でウェイトレスとして働いてくなかで、記憶に残っている客。
喫茶店での文化的なやり取りを知る。
そんな喫茶店で、少し風変わりに映る青年と出会う。
後に著者はその青年と結婚するが、その出会いとやり取りをこの短編では描かれている。
絵を洗う - 州之内徹
喫茶店に掛けられた油絵。
喫茶店に掛かっている絵は、煙草の煙と埃とで、ひどく汚れていることがある。
そんな絵を洗う過程でおこるお話。
著者は専門家ではないが、やっかいな絵の専門家との一悶着がおもしろい。
壹眞 - 常磐新平
神保町にある喫茶店「壹眞」。
この壹眞のはじまりから、繁盛する過程を著者の視点で描く。
壹眞のオーナーのコーヒー愛や著者とのやり取りがいい。